[総体]仲間の想いに涙・・・「チームで結果を残す」決意のU-19代表FW岩崎悠人、圧巻のオーバーヘッド弾!
ゲキサカ / 2016年5月23日 6時31分
[5.22 総体京都府予選準々決勝 京都橘高 3-0 福知山高 立命館宇治高G]
複数のJクラブが争奪戦を繰り広げる京都橘高のU-19日本代表FW岩崎悠人(3年)が2得点を奪う活躍を見せて、チームを勝利に導いた。
「米澤(一成)監督からは準々決勝とか名前に決勝がつく試合から、厳しい試合になると言われていたので、分かってはいたけど、雰囲気に飲まれてしまった」。試合後、そう振り返ったように、スコアこそ3点差だったが、決して楽な試合ではなかった。
岩崎自身も前半は結果を残せず。12分にMF河合航希のスルーパスからPAを抜け出し、京都橘のファーストシュートを放つなど鋭い飛び出しで攻撃を牽引したが、「昨年は良いボールが来ないと我慢できずに下がってボールを受けてしまったけど、今回のインターハイではチームを勝たせるため、得点を奪うためにゴール前で待ってプレーしようと思っていた。ただ、ゴール前で動き過ぎたせいで、縦に速い攻撃ばかりになってしまった。個人としても、チームとしても動き過ぎてしんどかったと思う」と振り返ったように、積極的なプレーが裏目に出た格好に。米澤一成監督もこの日の岩崎を「最初のうちに点が獲れていれば、良くなっていったと思うけど、今日は途中までは気持ちが入って空回りしていた。アカン時の悠人」と評した。
後半になってからは前半に飛ばし過ぎたせいで体力を失い、動きのキレも落ちていった。ゴール前でボールを受けても次々にやってくる相手のマークをかわせない。残り時間も着々と減っていったが、「今年に入ってから点は獲れていたので、自信はあったので、いつか獲れるだろうと思っていた」と焦りの色はなかった。エースの大役を果たしたのは後半31分。左サイドからDF水井直人が入れたクロスにゴール前で反応し、DFを背負った状態でまずは胸トラップでボールをコントロール。素早くオーバーヘッドから放ったシュートがゴールネットに突き刺さる。観客席もざわつく程、難易度の高いシュートだったが、本人は「ああいうのは得意というか、ああいうゴールしか決まらない印象も皆に持たれていると思う」とサラリとした表情。終了間際にも自身2点目を決めて、チームを勝利に導いた。
岩崎は並々ならない想いで今大会に挑んでいる。総体予選が始まる前、韓国遠征に挑むU-19日本代表のメンバー入りの打診が届いた。ブラジル代表やフランス代表といった世界のトップクラスと真剣勝負ができる絶好の機会だが、参加すればこの日の準々決勝には参加できない。勝ち進んだとしても、予選期間中にチームを離れるデメリットもある。いつもならば、岩崎と米澤監督の二人で話し合い、代表に参加するかどうかを決めるが今回は最終学年で迎える大事な大会だったため、チームメートの意見を聞くことにしたという。「チームが勝つためには悠人が必要なんですけど、悠人のためとしては代表に行かせてあげたかった。悠人にはもっと上でやって欲しいし、プロという道がある。代表で活躍して俺たちに刺激を与えて欲しかった」(堤原翼)というように、代表行きを歓迎する声もあったが、同級生は一緒に総体予選に挑みたいという想いが強く、「残って欲しい」という声が主。下級生からは「代表に行ってください」という声が多く、意見は分かれたが、その全て岩崎を想うからこその声だった。
「悠人はこの代がめっちゃ好き」と堤原が口にするように、誰よりも京都橘を愛する岩崎の気持ちは最初からチームに残ることを決めていた。ただ、みんなの想いを耳にし、ミーティングの最後に結論を口にする際には、「『皆、こんなに俺のこと想ってくれるんや』って泣いていました」(堤原)。学園ドラマさながらの熱い友情を目にし、輪の外から話を眺めていた米澤監督も思わず、貰い泣きしそうになったという。「代表には行きたかったけど、チームで結果を残すことが先。チームで結果を残せば、また代表にも呼ばれると思う」と口にするように、自らが下した決断に悔いはない。残り2戦も自らの得点で、大切な仲間と喜びを分かち合うつもりだ。
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
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