大久保を招集しない理由は…ハリル「A代表で生きるイメージがわかない」

　日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は26日、千葉県内のホテルで記者会見を行い、6月のキリン杯に出場する日本代表メンバー25人を発表した。会見では昨季まで3シーズン連続でJリーグ得点王に輝き、今季も得点ランキング2位の9ゴールを挙げているFW大久保嘉人(川崎F)が招集されない理由を問う質問も飛んだ。

　昨年5月の代表候補合宿で大久保を招集しているハリルホジッチ監督だが、試合に向けた代表メンバーには一度も選んでいない。「どの国も1人、2人のゴールゲッターが違いを見せる。ゴールゲッターがいない国は高いレベルには行けない。そういったゴールゲッターを探すトライをしている」と力説しながら、日本人で最も得点力のあるベテランFWを選出しない“矛盾”。指揮官は大久保について「まれなゴールゲッターだ」と認めながらも、「私は躊躇している。A代表に彼の動きが生きるのか、私の中でまだちょっとイメージがわかない」と答えた。

「A代表で彼が活躍してきた試合も見てきた。しかし、彼の年齢も考えないといけないし、A代表でそれほど多くの結果を出していないということに関して疑問も持っている」。日本代表では国際Aマッチ60試合に出場して6得点。Jリーグと比べれば、得点率は決して高くない。

「(大久保には)ある特徴がある。16mの中(ペナルティーエリア)でしか(プレーが)見られない。生まれ持った天性のゴールゲッターの感覚がある。しかし、こういう選手をA代表に呼ぶのは簡単なことではない。(代表では)組み立てにも参加しないといけないし、ディフェンスにも戻らないといけない」

　大久保のプレースタイルをそう分析するハリルホジッチ監督は「まだ私は躊躇している段階だ。最終的には分からない。大久保が必要なら呼ぶ。しかし今はオカ(岡崎)、(金崎)夢生、浅野をより多く使いたいと考えている。絶対はない。私は元FWなので、大久保の動きだけを見たときもある。しかし、A代表に彼の動きが生きるのか、私の中でまだちょっとイメージがわかない」と率直に認めた。そして、3月の代表合宿で招集しながら今回は見送ったFWハーフナー・マイク(ADOデンハーグ)を引き合いに出し、クラブと代表の違いについて懇々と説いた。

「ハーフナー・マイクを思い出してほしい。彼も一回呼んだが、ロングボールを使った戦術をここ数年、日本は取っていない。一人の選手のために(戦術を)変えないといけないが、日本代表のトレーニングは一回ぐらいしかできないから難しい。(3月24日のアフガニスタン戦でも)マイクにセンタリングを送れるかなと思う場面があったが、そうしなかったシーンが結構あった。本田や香川、清武。そういった選手が今、我々のキーになっている。しかし、彼らはセンタリングを上げる選手ではない。2mの選手を入れても、センタリングを上げる選手がいなければ無駄になる」

　同様のことが大久保にも言えるとハリルホジッチ監督は考えている。「彼をA代表に入れて、大久保にとってのチームをつくる、大久保にいろんなことを覚えてもらう。これは34歳、35歳では難しい」。そう指摘したうえで、「可能性があるなら国内の試合では呼ぶかもしれない。アウェーではないだろう。10分入れただけで点を取るかもしれない。しかし、今のところは他の選手をチョイスしている」と、現時点での考えを説明した。

(取材・文　西山紘平)