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[総体]熊本制覇も「通過点」全国で勝負する熊本国府が「震災に負けない、強い熊本を」示す

ゲキサカ / 2016年6月8日 7時25分

 熊本商は先制された直後に大津戦で決勝点の10番MF大津勇人(3年)を投入。そして後半7分には準決勝で同点ゴールを決めている左MF岡野樹(3年)をピッチへ送り込む。だが、熊本国府は守備的MF渡辺智貴(3年)が大津へのパスを入れさせず、中央でインターセプトを繰り返す。それでも熊本商は後半に押し返してクロスやセットプレーの回数を増やしたが、今大会無失点の熊本国府は熊本を代表するCB久野龍心(3年)とCB藤田海輝(3年)のコンビやGK生田千宝(3年)が鉄壁の守りを披露。高さで差をつけて相手の攻撃をほぼ完璧に跳ね返すと、スペースのボールに対しても的確なカバーリング、また高いDFラインを設定してオフサイドを奪うなど、要所を締めて得点を許さない。宇室や後半途中に投入されたFW高原悠太主将(3年)が推進力を生み、チャンスをつくりながら2点目を奪うことができずに苦しんだ部分もあったが、それでも快勝で全国切符を勝ち取った。

 熊本地震から熊本国府が全体練習を再開したのはゴールデンウィーク後になってからだという。被災した影響によって、隣県の福岡や鹿児島出身の寮生たちは実家へ戻り、選手たちはバラバラに。この日決勝点を決めた杉田は「何より、みんなとサッカーできた時の喜びが凄かった。自分は小学校の時の監督が福大のOBの監督で、連絡取ってもらって福大で練習していました」。またMVP級の活躍を見せた渡辺は「学校は5月10日からだった。部活始まるまではボランティアをやっていました。地震の時にボランティアで物資を配りに行ったりしていたのでそういう人たちにも頑張っているのが届けばいいと思っていました」

 全体練習を再開するまで時間を要したが、自主練習するためにグラウンドが開放され、その中で各々ができることからスタートした。コーチングスタッフたちが驚くほど、選手たちは自主的なボランティア活動を行う中で、個々が全国で勝つチームになるための準備を欠かさなかった。チーム全員が揃った5月10日から1か月弱で迎えた決勝。走力の部分など不安もあったというが、チームは伝統の堅守、そして今年の特長でもあるサイド攻撃を駆使してタイトルを獲得した。久野は言う。「地震とかで1か月くらい動けなかったので、どうなるのかな正直思ったんですけど、こうやって大会を行ってもらえましたし、学校の先生とかサポートしてくれたので結果で支えてくれた人たちに恩返ししていきたい」。全国で戦えるチームになることを目指してきた熊本国府が、全国で地域に勇気を与える戦いを見せる。

(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2016

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