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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:39番を背負う意味(岡山・篠原弘次郎)

ゲキサカ / 2016年11月28日 8時22分

ファジアーノ岡山の勝利に貢献した篠原弘次郎。決勝では“古巣”C大阪とJ1昇格を懸けて戦う(写真はJ2第11節より)。

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 後半も既にアディショナルタイムに差し掛かった45+2分、赤嶺真吾の劇的な勝ち越し弾が松本山雅FCゴールに吸い込まれる。「もう『マジか?』みたいな。『勝っちゃうぞ、コレ』みたいな感じでしたね」とその瞬間を振り返る39番は、最後の最後まで体を張り続け、ファジアーノ岡山の決勝進出を告げるホイッスルをピッチ上で耳にした。自らの左隣でチームを統率するキャプテンの岩政大樹より4つも大きな数字を背負い、チームの勝利に貢献した篠原弘次郎の背番号には、ある“恩師”への想いが込められている。

 年代別代表の経歴を引っ提げ、東福岡高から10年に岡山へと加入した篠原。最初の1年半は当時中国リーグに所属していたネクストチームで実戦経験を積む日が続く。1年目は44番、2年目は40番、3年目は22番、4年目は15番と背番号はどんどん若くなっていったものの、ケガに悩まされることも多く、なかなかトップチームでの出場機会を掴み切れない。そんな彼に14年、ロアッソ熊本から期限付き移籍のオファーが届く。現状を打破するべく、1年間の武者修行を決断した篠原は、開幕当初こそスタメン起用が続いたが、完全にレギュラーを確保するまでには至らず、ベンチから試合を見つめる機会も増えていく。すると「試合に絡めなくて、どうしたらいいかわからなかった」タイミングのある日の紅白戦で、本職ではないSBに回された時、彼の中で何かが切れてしまった。自らの殻に閉じこもるかのようにピッチの周りを1人で走り始めると、「ちょっとランニングしよう」と声を掛けられる。言葉の主は当時熊本のコーチを務めていた北嶋秀朗。2人だけのランニングが始まった。

 北嶋には篠原の気持ちが良くわかっていた。自分も同じような境遇に置かれたことがあり、同じような行動を執っていた経験があったからだ。「自分がうまく行かない時には、『オレだってこんなに頑張っているのに』って、1人で走ってアピールしたりするんだよ。オレもそうだった。でも、実際はそんなの誰も見てないから。練習の中で自分をアピールするしかないんだよ。そういう所が甘いんだ」。試合に出られない悔しさと、自分のプレーを出し切れないもどかしさと、色々な感情が入り混じっていた中で、あまりにも核心を突かれた北嶋の言葉に「悔しさというか本当に情けない気持ちで涙が出てきた」という。本人曰く「ガチ泣きした本当に忘れられない思い出」。厳しい言葉を掛けつつも、これからどうして行くべきかなど、本当に親身になって話をしてくれた北嶋の想いが嬉しかった。「これはマジでイカン」と感じた篠原にスイッチが入る。結果的に14年シーズンはキャリアハイの27試合に出場。一定の手応えと確かな意識の変化を携えて、熊本での1年を戦い終えた篠原は古巣へと復帰することになった。

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