出番掴むために磨いた誤差のない“レーザービーム”。インハイ優勝歴持つ筑波大CB小笠原が堅守とキックで貢献
ゲキサカ / 2016年12月12日 19時53分
[12.12 全日本大学選手権(インカレ)準々決勝 筑波大 2-1 関西大 浦安市運動公園陸上競技場]
自分がピッチに立つために何が必要か。その答えがキックだった。筑波大は最終ラインの中央でコンビを組んだCB小笠原佳祐(2年=東福岡高)とCB鈴木大誠(2年=星稜高)中心に関西大のパワフルな攻撃に対抗。2人はロングボールを頭で確実に跳ね返したほか、前線の足元に入ってくるところを厳しいチェックで潰して攻撃に移した。
アバウトなボールが放り込まれた際に対応が後手になってシュートまで持ち込まれるシーンもあったが、それでも彼ら中心に泥臭く守り続けたことで筑波大は良い形の攻撃に繋げることができていた。そして終盤の2ゴールによってベスト4進出。目標とする日本一へまた一歩前進した。
守備の面での貢献度はもちろん大きかったが、この日特に目立っていたプレーのひとつが小笠原のフィードだ。本人は人工芝のグラウンドだったことで上手く行った部分もあったと認めていたが、最終ラインの右寄りの位置から逆サイドの選手の足元へ綺麗な弾道のストレートボールが何度も飛んでいく。前線へのフィードも正確。直接得点に繋がった訳ではないものの、その“レーザービーム”とも表現できるキックが攻撃にリズムを生んでいたのは確かだった。
東福岡高時代の14年全国高校総体(インターハイ)で日本一を経験。MF中島賢星(現横浜FM)やMF増山朝陽(現神戸)らを擁した東福岡は圧倒的な攻撃力を誇っていたが、その最終ラインでチームを支えていたのが頭脳派CB小笠原だった。カバーリングに優れ、チームに出来かけた穴を封じ、強さも見せて勝利に貢献。だが、その小笠原も名門・筑波大で出場機会を得るためには全日本大学選抜候補の鈴木大らと厳しい競争を勝ち抜かなければならない。そのために磨いた武器がキックだった。
「同じチームで同じタイプのCBは出せないと思う。去年は(新潟入りした)早川(史哉)さんがいて、(栃木へ進んだ)西村(洋平)さんがいて。違いを出すならここかなと。身体能力とかでは(鈴木)大誠には勝てないので、他のところで何かなと考えた時にキックかなと思ったので、判断があってキックまで持ち込めればと。きょうも左へ何本か蹴れていた」
練習前にクロスバーに向けて真っ直ぐボールを蹴るトレーニングを繰り返して精度向上。そのキックで意識しているのは誤差を少なくすることなのだという。「筑波はみんな中盤の選手が上手いので、その半径何m以内に飛ばせば繋がるので自分は誤差を出さないように、人に出せれば筑波で(自分)は機能できる」。身体能力が高く、潰しのきく鈴木大と自分とのコンビ。タイプの違う2人のCBとしてともにピッチに立ち、勝利に貢献し続けている。
日本一まであと2勝。てっぺんまで勝ち上がった経験を持つ小笠原は今の筑波大が自身の知る感覚に近いものがあると感じている。高校に続き、大学でも日本一を勝ち取るために。最終ラインの中心選手が攻撃でも武器である“レーザービーム”を発揮する。
(取材・文 吉田太郎)●第65回全日本大学選手権(インカレ)特集
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