大迫は「薄情者」?偉大なOBの前で鹿児島城西が北陸振り切り4大会ぶり初戦突破
ゲキサカ / 2016年12月31日 20時54分
[12.31 全国高校選手権1回戦 北陸高0-1鹿児島城西高 等々力]
第95回全国高校サッカー選手権は31日、1回戦を行い、等々力陸上競技場の第2試合では鹿児島城西高(鹿児島)が北陸高(福井)を1-0で下し、初戦を突破した。来年1月2日の2回戦では長崎総合科学大附高(長崎)と対戦する。
試合はいきなり動いた。鹿児島城西は前半6分、右サイドでFKを獲得すると、MF永吉広大主将(3年)が左足でゴール前に蹴り込み、ニアに飛び込んだMF大脇瑞城(2年)がGKの手前で合わせ、ヘディングシュートを叩き込んだ。
「セットプレーは練習でやっていた。キーパーの前を横切ろうと話していたし、いい飛び込みをしてくれた。(キックの質も)低くて速い、良いボールだった」。先制点のシーンを振り返る小久保悟監督だが、その後は「2点目を取れず、苦しい展開になった」。前半アディショナルタイムには大脇が右サイドを縦に突破し、ゴール前にクロス。MF津留優晴(2年)が滑り込みながら合わせたが、GK椎葉俊介(3年)の好守に阻まれた。
1点リードで前半を折り返した鹿児島城西は後半6分、津留に代えてMF山田駿(2年)を投入。同10分にはロングフィードにその山田が抜け出す決定機を迎えたが、左足のシュートは椎葉のビッグセーブに遭い、跳ね返りをもう一度押し込もうとした山田のシュートもゴールライン上でDF梅田亮祐(3年)にクリアされた。
最少失点で食い止める北陸も何とか同点ゴールを目指すが、後半14分、MF坂東陽優吾(2年)の左CKにファーサイドで合わせたMF中嶋祥(2年)の右足ボレーはGK泉森涼太(2年)が好セーブ。後半28分にMF中嶋祥(2年)に代えてMF平森大誠(2年)、同32分には坂東に代えてMF河村健斗(3年)を投入すると、後半37分、右サイドからMF八木悠斗(1年)が入れたアーリークロスに河村が飛び込んだが、わずかに合わず、最後まで1点が遠かった。
1-0で逃げ切った鹿児島城西は16強入りした12年度大会以来、県勢としても4大会ぶりの初戦突破。直近の2大会はいずれも初戦でPK負けに終わっていたこともあり、「80分で決着をつけたいと思っていた」と本音を漏らした小久保監督だが、負けられない理由はもう一つあった。この日はOBのFW大迫勇也(ケルン)がスタンドで試合を観戦。試合前にはロッカールームにサプライズで登場する“演出”も仕掛けた。
「選手には黙っていた。今の選手は初めて会ったと思う」。選手と一緒に円陣で肩を組んだ大迫は後輩たちを激励。自身が持つ1大会10ゴールの最多得点記録についても「うちのセンターフォワードに『早く自分の10点を抜いてくれ』と言っていた」(小久保監督)という。
大迫を擁して準優勝した08年度大会にどこまで近づくことができるか。「(選手権本番で大迫が)応援に来たのは初めてだと思う。薄情者だから」と笑った小久保監督だが、「選手にはいい刺激になったと思う」と感謝する。2回戦の相手は同じ九州勢の長崎総科大附。プリンスリーグ九州では0-6、0-1と2敗しているだけに、「フィジカル的に強いし、スピード、パワー、テクニックが整っているチーム。チャレンジャー精神で臨みたい」と、静かに雪辱を誓った。
(取材・文 西山紘平)
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