[新人戦]選手権準Vの新生・前橋育英が4強入り! 圧巻のポゼッションプレーで桐生一に1-0快勝

選手権組が実践復帰した前橋育英が桐生一に勝利し、4強入りを決めた

[1.22 群馬県高校サッカー新人大会準々決勝 前橋育英高1-0桐生一高 太田市運動公園サッカー場]

　1月22日、群馬県高校サッカー新人大会の準々決勝が群馬県内各地で行われ、4強が出そろった。太田市運動公園サッカー場の第一試合には先の第95回高校サッカー選手権大会において準優勝を果たした前橋育英高の新チームが登場。県内のライバル・桐生一高の挑戦を受けることとなった。

「昨年はふがいない成績だったので、今年こそはという思いが僕らにはある」と田野豪一監督が語ったように、桐生一側の気合いは試合前から十分に伝わってきた。対する前橋育英も試合前から笑顔が出るような状態。これは選手権組が大会後から「休みを取らせていて、この試合が実戦復帰。うずうずしていると思う」(山田耕介監督)という状態のためだった。選手権決勝の先発メンバーからDF松田陸、後藤田亘輝、角田涼太朗、渡邊泰基、MF田部井悠、FW飯島陸(いずれも2年)の6名がスターティングラインナップに名を連ね、このときは交代出場だったMF田部井涼(2年)がキャプテンマークを巻いてボランチに入った。

　立ち上がりから主導権を握ったのは前橋育英。コンダクター役の田部井涼を起点にしつつ、ボランチの相棒・塩澤隼人(2年)と共に桐生一のプレッシャーをいなして、ボールを動かす。10分には早くも飯島が決定機をつかむなど、優勢に試合を進めていく。だが、「課題は誰が観ても明らかでしょう」と山田監督が振り返ったとおり、なかなかゴールを奪えないまま時間が過ぎていく。

　対する桐生一もDF金子雄大(2年)とDF長谷川樹(2年)の両サイドバックが中央への絞りを徹底しつつ、最後のところで体を張って守る意識も常に高く保ち、ゴールを許さなかった。後半は攻めあぐねる時間帯もあった前橋育英に対し、カウンターを繰り出した桐生一。昨年、DFからFWへコンバートされた抜群の身体能力を持つ高橋一輝(2年)が単騎で抜け出す絶好機も作ったが、これは惜しくも枠外へ逸れていった。

　ただ、「あれだけ回されると体力的にもキツくなっていく」と田野監督が肩を落としたように、徐々に桐生一側の守備の強度が下がって生まれた隙を、前橋育英は見逃さなかった。後半33分、渡邊のパスを受けた田部井悠が見事なファーストタッチから右足で巻いて蹴る技巧的なシュート。右足から放たれた鮮やかな弾道が、ここまで好プレーを見せてきた桐生一の注目GK中村海生(2年)の牙城を破り、決勝点となった。

　スコアこそ1-0ながら、「ウチがあれだけ回されることはちょっとないですよ」と桐生一の田野監督も脱帽したように、前橋育英新チームのポゼッションプレーのクオリティを感じさせる試合内容となった。ただ、前橋育英・山田監督は「確かにボール回しは上手い。でも課題が(選手権から)変わってない。やはり決定力を付けないと」と渋い顔。勝って兜の緒を締め直す構えだった。

　群馬県高校サッカー新人大会は28日に下増田運動場で準決勝、29日に群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場にて決勝を行う。

(取材・文　川端暁彦)