「不安と戦う日々だった」今季初ゴールの齋藤学、“約束”の「F」も勝利に届かず…
ゲキサカ / 2017年9月16日 22時51分
[9.16 J1第26節 横浜FM1-1柏 日産ス]
待望の今季初ゴールも喜び切れなかった。横浜F・マリノスは前半9分、DF山中亮輔の左クロスが相手に当たったこぼれ球をMF齋藤学が拾い、PA内左45度の位置から右足を一閃。豪快にゴール右上隅に流し込み、先制点を奪った。
「点を取れたことはよかったけど、勝てなかったことのほうが大きい」。待ちに待ったエースの一撃でリードを奪った横浜FMだが、後半は柏の攻勢に押し込まれる苦しい展開。それでも最後のところで体を張って耐えていたが、後半43分、FWクリスティアーノの直接FKで同点に追いつかれた。
「やられる空気はなかった」。そう悔やんだ齋藤はファウルの判定に異議を唱え、イエローカードを受けた。「審判がファウルと言えばファウルだけど、真剣勝負でやっていたら文句も出る。もったいないけど、それだけ本気だった」。土壇場で追いつかれ、それでも後半アディショナルタイムには勝ち越しのチャンスもあった。
MFマルティノスからのスルーパスに齋藤が反応。PA内に切れ込んだが、ドリブルでGKをかわそうとしたところでボールを抑えられ、シュートを打ち切れなかった。「一瞬、キーパーが出てきていたのが見えてなくて……。そこは僕の力不足」。前半アディショナルタイムにあった2度のチャンスもGKの好セーブとポストに阻まれるなど、「仕留め切る力が鹿島にはあって、僕らに足りないもの」と、2点目を決め切れなかったことを反省した。
結果は悔しい引き分けだったが、ようやく生まれた今季リーグ戦初ゴールが背番号10をプレッシャーから解放することになるのは間違いない。「点を取ったことがすべてではないけど」。そう前置きしたうえで、「今日の点より簡単なシュートは今までに何本もあった。こういうゴールでスタートを切れたことは良かった」と安堵の表情を見せた。
「内心、不安と戦う日々だった」。無得点が続いたここまでを振り返り、「携帯に触ればニュースとかで『ノーゴール』って出てくるし、今季ノーゴールだったらどうしようという思いもあった」と率直に胸の内を打ち明けた。「ここからノッていけるかは僕に懸かっている。しっかり続けたい」。得点後には指で「F」の文字をつくった齋藤は「『F』が付く男の子と会って、その子と約束していた」と、病と闘う男の子の頭文字だったことを明かし、「1試合1試合、優勝するために戦っていきたい」と前を向いた。
(取材・文 西山紘平)
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