[MOM2316]高知西MF坂本武宰志(3年)_「小さいことが武器」の10番。“流れを読む力”で抜群の存在感
ゲキサカ / 2017年12月1日 16時41分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.12 選手権高知予選決勝 明徳義塾高 0-1(延長)高知西高 春野陸]
高知西高の10番を背負うMF坂本武宰志(3年)の身長は160cm。フィールドに立つ22人の中でもひと際、小さな選手だが、試合での存在感は誰にも負けていない。この日も決して派手なプレーはなかったが、攻守両面で気の効いたプレーを何度も披露。寺尾拓監督が「彼がいなければ違った展開になっていたと思う」と称えたように、初の全国大会出場に大きく貢献した。
サイズがない分、そつなく何でもこなせるのが彼の売りで、中でも目を惹いたのは試合の流れを読む力だ。この日は前半3分にロングスローからシュートを放つなど、出だしに攻撃性能を示した坂本だったが、以降は相手にボールを持たれる苦しい時間が続いた。
ただ、「苦しい時間や押し込まれる時間があるのは最初から分かっていた。日頃から意識している粘り強さを見せながら、チャンスを狙っていた」と振り返るように、劣勢は想定。明徳義塾の攻撃をゼロで封じるため、対面する左ウイングバックのMF清水侑季(3年)封じに重点を置きつつ、機を見ては3バックの間やサイドのスペースを果敢に仕掛けて、見せ場を作った。
後半開始からはドリブルに長けたMF工藤篤弥(2年)が入ったことにより、右サイドハーフからボランチへとスライド。「相手に押される時間が増えた。失点するとより厳しく試合になるので、みんなで話し合って、“まずは守備から”という意識を強くした」と守備への意識を前半以上に高め、MF江口隆史(3年)のスルーパス封じに励んだ。
攻撃でも闇雲に蹴るのではなく、味方にきっちりボールを預け、組み立ての起点として機能。隙あれば狙う縦パスも明徳義塾にとって厄介な存在で、高知西が守備を重視しながらも、攻撃で特徴を出せたのは彼がいたからと言っても過言ではない。
「指導者と同じようなサッカー観を持っている」と寺尾監督が一目置くほどのサッカーセンスは幼少の頃から培われてきたもので、小学校時代は高知南FCの一員として、全日本少年サッカー大会にも出場。当時も小柄な選手だったが、DFとしてプレーしたことで、「どうやって戦えば良いか考えると、身体でいっても無理、スピードでいっても無理。なら、ポジショニングを頑張るしかないと思った」。高校に入ってからも、スタイルは変わらず、「小さいだけじゃなく、上手くもない。どうやって相手と戦うかを考えたらボールを持っていない動きを頑張るしかなかった」。
本人にとって、小さな身体はコンプレックスではなく、武器。「身長がもっとデカければやれることは増えるかなとは思うんですけど、それは仕方ないこと。代わりに小回りが効いたり、小さいことが武器になることもある。身体能力がなかったから、今の僕があると思う」と胸を張る。
他の3年生と同じく、坂本はこれから大学受験を予定しており、英語での面接に備え、猛勉強中だ。これからは選手権への準備も加わり、スケジュールは多忙を極めるが、目指すのは大学合格と全国での活躍。「全国でも強い相手に臆することなく、今日以上に粘り強く戦いたい。そのためにも、自分たちのサッカーを突き詰めていきたい」と晴れ舞台に向けての意気込みを口にした。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校選手権2017
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