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「僕を京都一のキャプテンにして下さい」。京都橘は前十字靭帯断裂の大黒柱の願いに応えて京都6連覇、全国へ

ゲキサカ / 2017年11月30日 19時33分

京都6連覇を達成した京都橘高。GK高木上総介はDF河合航希の7番のユニフォームを手に笑顔

 不測の事態は、いつも突然訪れる。

 シード校として登場した選手権京都府予選3回戦を快勝した京都橘高は、続く4回戦も前半10分に先制点を奪う順調な滑り出しを見せていた。悲劇が起こったのは、その直後だった。ボールに反応して前に出ようとしたDF河合航希(3年)は、雨でぬかるんだピッチに右足をとられてしまう。うずくまる河合がタンカで運ばれていく様子を見て、誰もがただ事ではないと感じたはずだ。診断結果は右足前十字靭帯断裂と半月板損傷。復帰まで半年以上かかる大怪我だった。

 河合の離脱はチームをまとめる主将だけでなく、戦力としても代えの効かない存在を失うことを意味していた。それだけに米澤一成監督も「青天の霹靂。こんなことが起こるのか」とショックを隠せなかった。1週間後にはライバル・東山高との大一番が控えている。大黒柱を失ったダメージから立ち直れずに試合を迎えるのか、それとも河合の思いも背負って立ち向かっていくのか。残された選手たちが選択したのは、後者だった。

 キャプテンマークを受け取った副主将の古川隆輝(3年)は、東山戦の前に河合から「僕を京都一のキャプテンにして下さい」と言われたという。「あの言葉で火がつきました。6連覇という期待や重圧の先頭に立つのはプレッシャーもあったけど、僕が引き継いだ後に負けられないと思った」(古川)。準々決勝で東山に2-0で快勝したチームは、準決勝で福知山成美高を5-2で撃破。決勝では高校総体予選のリベンジに燃える久御山高を1-0で破って、全国大会への切符をつかんでみせた。

 この優勝を人一倍、喜んだのがGK高木上総介(3年)だ。河合とは練習後にチームの課題などを話し合う間柄。高木上は2月に負傷して、高校総体の京都予選を欠場しているが、その際に河合から「予選を突破して全国へ連れて行く。全国大会なら間に合うやろ」と励ましの言葉を掛けられている。有言実行、チームは京都予選を勝ち抜き、高木上は全国の舞台でピッチに立つことができた。「今度は自分が(河合)航希を連れて行く番」。そう決意して臨んだ男は試合後に河合が着ていた背番号7のユニフォームを手に持って、主将がいる応援席へと向かっていった。

 負傷後も河合は練習に顔を出し、試合前にはアドバイスや緊張をほぐす声をかけるなど、影ながらチームを支えてきた。全国大会でもピッチに立つ彼の姿を見ることはできないが、頼れる主将が抜けたチームは「河合がいたときと同じ戦い方はできないが、また違ったバランスで彼らの良さを発揮してくれた」(米澤監督)と確かな歩みを見せている。悔しい思いをしているのは河合だけではない。「メンバーに入れない選手たちの分まで戦わないといけない」という古川の言葉を、誰もが心に刻んでいるはずだ。京都史上初の大会6連覇という記録は打ち立てた。次なる舞台は、いよいよ全国だ。

(取材・文 雨堤俊祐)▼関連リンク
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