『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』: オトコ!オトコ!ミドリカワ!(昌平高・緑川光希)
ゲキサカ / 2018年1月3日 7時37分
「アレを止めたら本当のヒーローだったな」と指揮官が笑いながら声を掛ける。去年のキャプテンからは試合直後にもかかわらず、「この後、遊ぶから来いよ」という“集合”が掛かった。「学校の友達だったり、地元の友達だったり、LINEも100件近くバンバン来て、全然返せなかったんですけど、本当に応援されているなと感じました」。昌平高のゴールマウスを3年間守り続けた緑川光希は、最後まで緑川光希らしく、明るく爽やかに高校サッカーの舞台を去って行った。
「本当に監督には感謝ですね。監督が拾ってくれていなかったら、僕は行く所がなかったので」と話す緑川に、藤島崇之監督は1年生から昌平のゴールマウスを託してきた。「1年の時は先輩にくっついているだけだったので、自分ががむしゃらにただ止めるだけでしたけど、メチャメチャシュートが来るんですよ(笑)」と振り返ったリーグ戦の舞台はプリンス関東。結果は最下位での降格を突き付けられたが、個人として得るものは小さくなかった。
チームに1つの転機が訪れたのは、昌平にとって初出場となった昨年度の全国総体。大会3連覇を狙う東福岡高を2回戦で沈めると、前橋商高、静岡学園高と名門を相次いで下し、ベスト4まで躍進。最後は優勝した市立船橋高に惜敗したものの、「本当に夢みたいな感じでしたね。目の前に全国優勝が近付いてきて、『優勝できるぞ』と思いながら過ごす1週間は本当に楽しかったですし、基準がそこになったので、僕たちはそこを超えなきゃいけないなと思って、目指す所が変わったなと思います」と緑川は語る。それまでも目標として日本一を掲げてはいたものの、あの夏を経験したことで頂上への距離感が明確になったことが、今シーズンのチームを立ち上げる時に、大きなモノサシになり得たのは間違いない。
緑川も3年間で一番の思い出に、自身も大会優秀選手に選出された昨年度の全国総体を挙げる。「本当に広島のホテルからの景色も良かったんですよ」と笑わせながら、「僕は先輩たちが好きだったので、先輩と過ごした時間も本当に楽しかったんです」と1年前を思い出す。いわゆる“愛されキャラ”。「オトコ!オトコ!ミドリカワ!」という耳に残るチャントは、1年時から歌われているという。「あのチャントは本当にモチベーションが上がるんですよ。試合の一番最初に流れるじゃないですか。『始まった!』という感じで、あそこでスイッチが入る感じですね。確かにいろいろな人に『アレいいよね』って言われます」。まったくの部外者でも思わず口ずさみたくなるメロディにも、チーム内での立ち位置が透けて見える。
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