キャプテン田部井涼の“留守”守ったMF塩澤隼人「やるしかないなと」
ゲキサカ / 2018年1月7日 1時50分
[1.5 全国高校選手権準々決勝 米子北0-3前橋育英 駒沢]
訪れた“有事”にキャプテンマークを巻いた。スタメン発表は当日の朝。前橋育英高は3回戦富山一戦(1-0)で右膝上を打撲した主将のMF田部井涼(3年)が欠場。今年度は部長として、チームメートの私生活に厳しい目を向ける仕事を担ってきたMF塩澤隼人(3年)は「やるしかないなと強い気持ちで臨みました」とチームを統率した。
ボランチでコンビを組む田部井涼に代わり、相棒はMF秋山裕紀(2年)が務めた。「片割れの裕紀が緊張していた。一人がミスしたからって大したことはないので、『前で自由にプレーしてくれ』と声をかけた」。田部井に代わってこの日は塩澤が攻守のバランスを取り、秋山の攻撃参加をフォローした。
キャプテン田部井涼は「シオのことは信頼している。試合前は『思い切りやってこい』と言った」。中盤の攻防に勝ち、攻守をつないだ2人の仕事ぶりを見守り、「試合中のプレーに感謝したい」とうれしそうに話した。
「田部井涼がいなくてどうなるかと思ったけど、塩澤がリーダーシップをとってくれた」と目を細めたのは山田耕介監督。塩澤自身も「一人ひとりのやることは変わらないので、いつも通りみんなにプレーしてもらえるように意識していました。いつも以上に声をかけた」と自覚を強め、チームをけん引した。
昨年度大会はフィールド選手で唯一ピッチに立てず、苦渋を舐めた。「絶対にチームを勝たせる存在になって戻ってこようと思って一年間やってきました」。埼スタ決勝のピッチに立つために、6日の準決勝で上田西(長野)を打ち破らなければならない。「決勝に戻ってくることを目標に一年間やってきた。気を緩めず、今日のことは忘れて、いいコンディションでチームが一つになって臨めるようにしたい」と気を引き締める。
敗れた米子北の選手からは「絶対日本一になって」と千羽鶴を託された。対戦した初芝橋本(和歌山)、富山一(富山)、一条(奈良)からの千羽鶴も抱え、「いろんな人たちと戦って自分たちは強くなってこれた。そういう人たちの支えを忘れずプレーしていきたい」と対戦相手たちのエールを力に変えて戦い抜く。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2017
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