C・ロナウドも標的に…W杯史に残る『ビデオ判定』トラブル多発日 ロシアW杯VAR全事例集3
ゲキサカ / 2018年7月16日 16時59分
21回目のW杯ロシア大会は、残すところ決勝戦のみとなった。今大会から導入された『ビデオ・アシスタント・レフェリー』は計20回の介入がみられ、適切な運用の基準とされる「3試合に1回」を下回っており、上々の成果を挙げていると言えそうだ。だが、1日に5度もの介入が行われた“乱発日”もあった。全事例集第3弾ではそれらを振り返ってみたい。(【第1弾】【第2弾】)
VARはビデオモニターを見ながら試合を追い、必要に応じて主審に助言を行う審判のこと。一般には『ビデオ判定』とも呼ばれる。今大会では、モスクワの別会場に集まった国際主審4人が担当し、①得点②PK判定③一発退場④人違いの4要素について、「明白かつ確実な誤り」があった場合にのみ判定に介入することになっている。
5度の介入が見られたのは大会12日目の6月25日。グループリーグ第3節の1日目が行われ、突破争いが佳境を迎えた日だった。1つの判定がさらに重大な影響を及ぼすため、レフェリーたちもやや神経質になっている雰囲気が感じられた。もっとも、荒れ模様を見せたのはこの一日だけ。その後はきちんと基準が統一されたようで、今後のW杯でも同様のパニックはなかなかないかもしれない。
【事例1】大会12日目 エジプトvsサウジアラビア(②PK判定)
波乱の一日が幕を開けたのは、すでに敗退が決まっていた両者の対戦だった。前半アディショナルタイム、サウジアラビア代表MFサルマン・アル・ファラジが縦にパスを出し、エジプト代表DFアリ・ガブルと競り合ったMFファハド・アル・ムワッラドがPA内で転倒した。
PA内でのファウルの有無が問題となる“よくある”ケース。主審は接触があった直後にファウルを告げる笛を吹き、ペナルティースポットを指差した。だが、ここからが長かった。エジプトの選手たちが主審を取り囲み、プレーが止まったままVARとのコミュニケーションが始まった。
結局、トランシーバー上の会話では結論が出ず、主審は約2分後になってようやくピッチ脇モニターでの『オンフィールド・レビュー』を開始。接触の場面の入念に確認しつつ、VARとのやり取りではときおり声を荒立てる様子を見せた。結果的に判定は覆らず、PKで試合は再開。5分間弱にわたって試合が止まったのみで、不要なVARの介入だったと言える。
また、この場面ではオンフィールド・レビューが行われた後、主審はアリ・ガブルにイエローカードを提示した。本来であれば、警告はVAR介入の対象ではないため、ビデオ判定の結果として警告が行われることはないのが原則。だが規則では、介入の最中に「誰の目にも明らか」な事由があった場合は、警告を下したり、取り消したりできるよう定められており、これはルール上認められた判定だ。
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