[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:再会(流通経済大柏高・猪瀬康介)
ゲキサカ / 2018年7月23日 21時52分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
中学3年生だった、あの日。憧れていたチームは、絶対に倒さなくてはいけない対象に変わった。それから3年。男はようやくピッチで、そのチームとの再会を許される。猪瀬康介。名門として知られる流通経済大柏高のゴールマウスを託された守護神は、気を緩めれば溢れ出してしまいそうな感情を押しとどめ、静かにキックオフの笛を聞いた。
今シーズンの高円宮杯プレミアリーグEASTは、開幕から鹿島アントラーズユースが6連勝を飾るなど、やや独走態勢に。上位に付ける高体連勢の青森山田高や流経大柏も、負け数こそほとんどないものの引き分けが多く、徐々に勝ち点差を離されていった。そんな中で迎えた、前半戦最後のゲームとなる第9節。流経大柏はホームで鹿島ユースと激突することになる。今後のリーグを活性化させる意味でも、絶対に負けられない重要な90分間の真剣勝負。その一戦をある男は誰よりもずっと、ずっと待ち侘びてきた。
今シーズンから流経大柏でゴールキーパーの定位置を掴んだ猪瀬は、小学生時代に「ずっと憧れだった」鹿島アントラーズの、下部組織に当たるつくばジュニアへ入団。そのままつくばジュニアユースへと昇格し、ユース、トップチームへと続く未来予想図を頭の中に描きながら、日々トレーニングを積み重ねていく。ただ、順調に成長している手応えはあったが、一番大事な中学3年生の夏を過ぎてから、なかなかパフォーマンスが上がってこない。結果、クラブからはユースへと昇格できない旨を通達されることとなった。
14歳に突き付けられた残酷な現実。猪瀬は決意する。「鹿島をどうにかして他のチームに入って倒したい」。高体連のチームで彼らと戦うためには、同じリーグに所属している必要がある。いくつか進学先の候補はあったが、鹿島ユースと同じプレミアEASTを戦っているのは、その中で1つの高校しかなかった。2016年4月。「流経大柏に進んで、絶対鹿島を倒してやろうという気持ち」を携え、猪瀬は千葉の名門校の門を叩く。
高校選手権1回、全国総体2回、全日本ユース選手権1回、高円宮杯プレミアリーグ1回。ユニフォームに日本一の回数を示す“5つの星”を付けた流経大柏の選手層は、今さら言うまでもなく強烈に厚く、それまでほとんど見たことのなかったような選手が、大会の覇権を左右するような大舞台で活躍することも、決して珍しいことではない。猪瀬もなかなかAチームの公式戦に出場するまでには至らず、何度も悔しい想いをしてきたという。
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