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1試合7ゴール。ブラサカの「澤穂希」こと、菊島宙の凄さの裏側

ゲキサカ / 2018年9月14日 21時40分

TV局のインタビューに答える菊島宙

ブラサカの東日本リーグが2日、埼玉県本庄市で開幕した。開幕戦で埼玉T.Wingsの16歳、女子日本代表FP菊島宙(そら)が前半5分の先制ゴールを皮切りに、1人で全7ゴールをあげる大活躍。菊島自身、1試合史上最多得点となる”圧巻ゴールショー”で、チームの今季初勝利に大きく貢献した。

「7得点は満点とまではいきませんが、いいほうだと思っています。(自己採点は)70点ぐらいはいけていると思います。残り30点ですか? 最後から2番目のシュートがミートしなかったことや、攻められた後に、(守備に)戻ったりすることが足りなかったです」

 これまでの1試合の最高得点は2月24日、「さいたま市ノーマライゼーションカップ2018」で日本代表の一員としてアルゼンチン代表と対戦した時にダブルハットトリックを達成し、6得点。インステップでボールをとらえたときは面白いようにゴールネットを揺らす。イーブンボールに対する働きかけも、他のどの選手よりも最短距離でボールに追いつく。観客席からは「あの子、まるで見えているみたい」と驚きの声があがった。国内ルールにより、男子に交じって女子も出場できるが、菊島は後半、男子選手を突き飛ばす場面も。監督としてチームを率いている父・充さんも「サッカーをはじめるとき、普通はパスからはじめるんですが、僕はインステップのシュートからやらせました。それが彼女の中では武器になっているかなと思います」とほおを緩めた。

 ブラインドサッカーの魅力は?と聞かれて「目が見えなくてもサッカーができることです」と天真爛漫に答える16歳。父・充さんが今でも市民リーグでプレーするほどサッカーに熱心である影響で、幼少期からボールに触れ、小学校5年生の頃から普通のサッカーとブラインドサッカーの「二刀流」に挑み、中学時代から女子日本代表にも選ばれた。しかし生まれつき視神経が人より細い「先天性両眼視神経低形成」のため、視力は左が0.05、右が0.02と極端に低い。それでも笑顔でサッカーができるのは、父・充さんの厳しくも愛情のある教育の賜物だ。

「あの子が小学生のとき、障がい者への理解が必ずしも十分ではない先生が担任になったことがありました。小さなことが重なって一時的に登校拒否になりそうになったときがありました。ただ私はそのとき、『好きなサッカーをしたいんだったら、残ろうよ。やりたいことをやりたいんだったら、逃げずに行きなさい』と言い聞かせましたね。宙はサッカーに行きたいがために、頑張って学校にも行った。サッカーの存在が、彼女にとっていいモチベーションになったのだと思います」(充さん)

 菊島が中学卒業後に通う八王子盲学校には、男子の日本代表のストライカー、黒田智成が社会科の教員としてつとめている。

「今年は黒田先生が追いつかないぐらいの点数をとれればいいのかな。先生はそのうち追いついてしまうんですけどね」

 菊島はいたずらっぽく笑いながらも、尊敬の念を抱く黒田はこの日、チームの全得点となる2ゴールを決めて「先生の意地」を見せた。菊島も、男子の日本代表で長く活躍する黒田のように時代を築く選手になるために、父の愛情を一身に受けながら歩みをすすめる。

(取材・文 林健太郎)
●障がい者サッカー特集ページ

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