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FC今治オーナー岡田武史の告白(上)「経営者は日本代表監督より苦しい」

ゲキサカ / 2018年11月16日 11時37分

広島経済大学から名誉博士号を贈呈された

 18日のJFL最終節に来季のJ3昇格を目指すFC今治の岡田武史オーナーは11月上旬、広島経済大学から名誉博士号を与えられた。その後、行われた岡田オーナーの特別講演会の内容を2度にわたってゲキサカ内にて公開する。

 小谷幸生学長から広島経済大学名誉博士号をいただき、誠にありがとうございます。大阪出身で東京の大学を出た私が「なぜ今治でオーナーをしているんだ?」「なぜ監督じゃないの?」とよく聞かれます。私の先輩が今治で会社をやっておられて約15年間、定期的に教育担当顧問として通っていた縁がきっかけです。オーナーは普通、お金を持っている人がやるものですが、私は持っていませんでしたので、お金集めをする代表取締役も兼務しました。したがって今、とても監督業をやる余裕はないんです。

 私は日本代表監督を2度やらせていただきましたが、プレッシャーは経営者をしている今の方が私には大変です。日本代表の監督は「重い鉛の塊を担いでいる」ようなもの。でも、経営者は「真綿でジワジワ首を絞められる」苦しさです。
監督は自分の思い通りの体制が整っていなかったらやめればいい。でも経営者はそうはいきません。今、私が辞めたら、社員やその家族が食べていけなくなる。このプレッシャーはものすごい。辞めるに辞められないんです。ですから、代表監督のときに夜中に夢を見ることはほとんどなかったのに、経営者になってから会社の貯金通帳がゼロになった夢を見て、ガバッと目が覚めることが多くなりました。
日本代表では窮地に立たされるほど、力を発揮した
 2014年11月にオーナーになった後、今治に家を借りて住み、街中を見てみました。それまであったはずの大手デパートがなくなり、しまなみ海道という素晴らしい橋ができたので、港からフェリーが出なくなった。近くの小さな島から出るように変わってしまったんです。仮にFC今治が強くなってもこのままだと立っている場所がなくなってしまう危機感を覚えました。

 では、サッカーを通してどうやったら今治が元気になれるか? そのひとつが弊社の事業の大きな柱のひとつである「今治モデル」を作ることでした。
 FC今治が大きくなるには、ウチのクラブだけが強くなればいいわけではない。少年団、中学生、高校生のサッカー選手が一緒になってひとつのピラミッドを作り、その頂点のFC今治が強くて面白いサッカーをする。ですから27ある少年団の指導者、12ある中学校の先生、6校ある高校の顧問の先生に全員に会って「みんなでひとつのピラミッドを作りましょう」と訴えました。選手には今いるチームでプレーしてもらい、そのかわりに無償で指導者を派遣する仕組みにしました。FC今治が強くて面白いサッカーをしたら、四国から、そして全国からも若者が集まる。日本のサッカーはまだアジアではリスペクトされているので、アジアからも来るでしょう。人口16万人の街を、何とかコスモポリタンの活気ある街にできないかと考えました。

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