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ワールドグランプリで初の決勝進出に挑むブラサカ日本代表・川村からのお願い「最高のニッポンコールをください」

ゲキサカ / 2019年4月3日 20時20分

サポーターにむかって挨拶する(左から)高田敏志監督、川村怜、黒田智成

2020年の東京五輪にむけた「プレ・パラリンピック」と位置づけられる「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019」は21日、グループリーグの3試合目が行われ、A組の日本代表は世界ランク4位のスペイン代表を1-0で下した。対スペイン戦勝利は2007年8月以来、約12年ぶり。23日の準決勝の相手は、昨年のこの大会で勝っているイングランド代表に決まった。
 
 A組1位通過を手繰り寄せたのはやはり川村怜だった。前日20日のコロンビア戦で2ゴールをあげ、スペインのマークも厳しくなったため、前半から川村は十分な間合いを与えてもらえなかったが、ほんのわずかなスキを逃さなかった。後半9分、自陣の右サイドから駆け上がり、得意のターンで中央に切り込むと相手の2人のマーカーを置きざりにする。追いすがった189cmのイヴァ・ロペスに引っ張られ、バランスを崩しながらも左足を振り切った。尻もちをつき、ゴールとは反対方向にを体を向けられてしまっても、ボールは鋭くネットを揺らした。

 「いやあ、本当にうれしいです。ここにいる皆さんの声援の力を感じました。引き分けでも決勝トーナメントに進めましたが、勝つために戦いました。スペインはさすが強豪で僕らがやろうとしてきたことにすぐに対応してきた。泥臭いけど最後、打ち切れたことがこれまでの成果だと思います」

 スタンドには家族がいた。学生時代の仲間もいた。この試合のチケットは前売り完売。1289人が来場し、スタンドは全席埋まった。それでもチケットのキャンセル待ちの人が出るほど盛り上がった。

「得点という形でみなさんにゴールの瞬間をお見せできたことがよかった。ゴール後の大歓声があるからこそ、もっとゴールをとりたいという気持ちになりますね」

 川村は以前、こんなことを話したことがある。

「目が見えなくてもこれだけやれば人間の可能性が広がるんだ、ということを示したい。見えている人たちのサッカーにも、いい影響を与えられるような存在になりたいんです」

 人の得る情報の8割は視覚に由来するといわれる。その視覚が失われた分、不自由な思いはたくさんしてきている。それは川村をはじめ、ブラインドサッカー日本代表の選手たちも例外ではない。たとえば、トイレに行くときも川村たちは見えている人の肩を借りないとたどり着けない。ただ、普段から聴覚や脳をフル回転させる習慣があるため、健常者より感覚が研ぎ澄まされている。だから仲間の声、監督やガイドの指示、ボールに入っている鈴の音だけで自分の位置、相手選手の位置、ボールの位置を察知してサッカーを成立させることができる。川村がいう「見えている人たちのサッカー」と単純に比較することはできないが、人間の可能性を示しているこの競技もサッカー同様、一人でも多くの人に見てもらいたいと願っている。
スタンドはファンで埋め尽くされた
 国内開催で注目が集まる中、川村など選手たちの可能性を引き出して12年ぶりのスペイン撃破を成し遂げた高田敏志監督も試合後、珍しく声を上ずらせた。

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