[MOM2937]京都橘FW梅村脩斗(3年)_シュート0本の前日から見違える程の動き。初の全国で3発
ゲキサカ / 2019年7月29日 6時0分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 総体3回戦 京都橘高 3-0名経大高蔵高 南城陸上]
今回が高校に入って初めての全国大会で「ちょっとフワフワしていた」ため、前日の2回戦・専修大北上高(岩手)戦ではシュート0本。「悔しくて、私生活から変えようと思って早く寝たり、周りとコミュニケーションをとって今日にかける想いは強かった」と話す京都橘高のFW梅村脩斗(3年)が続く3回戦で、前日の出来を払拭する働きを見せた。
専大北上戦では緊張で足が動かなかったため、ボールが思い通りの位置に置けず、前を向くプレーが少なかった。反省を活かしたこの日は、持ち味であるポストプレーで味方を使いつつ、潰れ役であるFW梅津倖風(3年)との良好な関係性を活かして、ボールを受けたらなるべく前を向くことを意識した。
そうしたマインドチェンジが功を奏したのは前半13分のプレーだ。中盤で相手ボールを奪ったMF佐藤陽太(3年)が前線にクサビを入れると、梅村は相手を背負った状態から素早く前を向いてゴールに視線を向けた。佐藤が素早く、前方に飛び出しリターンを受ける体勢を作ったが、「陽太はリターンを欲しがるタイプ。相手の意識も食いついていたので、思い切ってニアを狙った」と佐藤を上手く囮に使って放った一撃が、ゴールネットを揺らした。
待望の全国初ゴールで気持ちが落ち着いた梅村は、19分にもカウンターで右サイドを抜け出したMF湊麟太郎(3年)からのパスをゴール前で合わせて、2点目をマーク。「みんなの意識が麟太郎に行っていたので、DFの逆をとって流し込むだけでした」。後半27分にはPA内でクロスのこぼれ球を拾った所を倒され、PKを獲得。冷静にキックを成功させ、ハットトリックを達成した。勝利の立役者となった梅村は、「中学時代はまったく結果を残せなかった。高校では結果を残したいと思って橘を選んだので、3点も獲れて嬉しい」と笑みを見せた。
ゴール前での落ち着きが目立った梅村だが、昨年、一年間はゴールが奪えず苦しんだ。しかし、スランプを打破するために自主練で1対1を磨いたことで、味方を活かすだけでなく自らが仕掛ける意識が高まり、周りが見えるようになった。そうしたプレーの成長が結果に繋がり、今年春の船橋招待からはゴールの感覚を掴み始め、プリンスリーグ関西でもコンスタントにゴールネットを揺らせるようになった。今では米澤一成監督も「春からの成長はチームで一番。今まではもう少し点を獲ってくれたら良いのにという場面があったけど、シュートの姿勢やゴールに向かう意識を持っている」と認めるほどだ。
橘が全国を沸かせる時には必ず、FW小屋松知哉(J2京都)やFW岩崎悠人(J1札幌)などチームを勝たせるストライカーがいた。京都U-15からU-18へと昇格できなかった梅村が橘を選んだ理由の一つは、そうした偉大な先輩たちに憧れたからだ。「橘史上初のインターハイベスト4に入りたい。歴史を塗り替えられるように次も絶対に勝ちたい」と意気込む点取り屋がまたチームに歓喜を呼び込んでくれるだろう。
(取材・文 森田将義)●【特設】高校総体2019
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