2年前の”リベンジ”だ。ブラサカ日本代表・加藤が先発奪取をめざして取り組んだ「カウンセリング」
ゲキサカ / 2019年8月27日 14時56分
ブラインドサッカー日本代表が12日、イングランド遠征(8月24日出発)前の最後の合宿を打ち上げた。この日は報道陣には非公開で行われたが、参加者の中で1人も離脱者を出さずに終えた。
2年前、今回と同様の英国遠征でずっと先発メンバーとして奮闘していたFP加藤健人にとって、イングランド遠征にはいいイメージと悪夢が混在している。
「当時も2年前もイングランド遠征に行った後、アジア選手権に挑みました。ゴールシーンについてはこれまでのゴールの中でもいい流れでした。でも、アジア選手権の第1戦・中国戦で相手選手とぶつかって目の下を切って、マレーシアで入院して、全身麻酔して縫いました。最後の順位決定戦(マレーシア)には出られましたが、ぶつかる怖さも、気持ちの葛藤もまだある。それで(歯車が)ズレちゃったかな、と」
その後、佐々木ロベルト泉の成長もあり、スタメンを譲ることが多くなった。もともと「チームのために役に立ちたい」という思いが人一倍強い加藤は、控えに回れば、限られた出場時間の中で何ができるかを考える。どのポジションで出ても貢献できるよう、場面ごとに有効なポジショニングがどこかを探るのに必死で、本来持っているシュートのうまさは最近まで、影をひそめていた。
加藤は休憩時に水を浴びながら中川英治コーチ(左)指示を受ける
ただ、指をくわえていたわけではない。負傷後、日本代表のメンタルトレーナー、後藤史氏と頻繁に話し、恐怖心とどう付き合うかを「カウンセリング」してきた。後藤氏が解説する。
「(加藤の場合)恐怖心が生まれた原因はプレーです。ですからピッチに出た時点で怖さは出てしまう。怖いと体が硬くなったり、認知能力が落ちたりしてそれまでできたレベルでできなくなるんです。その恐怖心とうまく付き合うには、『怖い中でもできた』という体験を積み重ねるようにしました。『怖いけど、声出せているよね』『怖いけど、音は聞こえていたよね』とか、できている小さな体験を再認識することを繰り返すと成功体験なので、自然に『怖いけど』がなくなる。彼は『怖いは怖い』と認める力があって、それを受け入れて自分で言語化できるようになった。だから今はけがした当初より、話す数はだいぶ減ってきています」
先月29日に公開された日本代表合宿でも、加藤は紅白戦でゴールを決めるなど、本来の力を出せる兆しが見えてきた。
「(イングランド遠征を)いいイメージで終えられたら、うまくアジア選手権に入れるかなと思います。チャンスとか作ったりして、今後につながる遠征にできたらいいなと思います」
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