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Cチームから這い上がった3年生。東山FW芦谷斗亜は“魔法のくすり”を処方するストライカー

ゲキサカ / 2022年1月3日 18時15分

FW芦谷斗亜(22番)のゴールに笑顔の花を咲かせる東山高の選手たち(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 東山高 3-0 長崎総合科学大附高 駒沢]

 ゴールを決めた22番は、一目散にチームメイトが陣取るバックスタンドの応援席の方向へ走り出し、ジャンプしながら右腕を突き上げる。

「僕は1年生の時はずっとCチームでやっていて、その時から一緒にやっていたメンバーがスタンドでも応援してくれていて、そういう応援のメンバーが声を掛けてくれたり、連絡とかいっぱいくれたりしていたので、この全国でゴールを届けたいなと思って、決めました」。

 Cチームからの下克上。東山高(京都)のストライカーポジションを託された苦労人。FW芦谷斗亜(3年=京都勧修中出身)のゴールは、みんなを笑顔にする“魔法のくすり”でもある。

 転機は昨年夏のインターハイだ。全国8強まで駆け上がったチームとは裏腹に、芦谷は危機感を募らせていた。「インターハイの時に自分はBチームで、帯同メンバーに入れなくて、そこで悔しい気持ちを持って、『何とか冬の選手権では試合に出て活躍してやるぞ』と思っていました」。メンバー外の悔しさを突き付けられ、自身がこの先で生き残っていく道を必死に考える。

「当時のAチームで、どこのポジションを狙っていけるかと考えた時に、『フォワードならもしかしたら出られるんじゃないかな』と思ったんです」。フォワードもやったことはあったものの、サイドハーフやサイドバックでもプレーしていた芦谷は、夏を越えるとフォワード1本で勝負する決意を固める。

 自分にできることは、前線でボールを収めて、味方の攻撃をスムーズに進めること。食事面を見直し、ウエイトトレーニングに励むことで、ディフェンダーに競り負けない身体づくりに取り組んできた。「まだまだ物足りないですけど、夏ごろに比べれば体つきも変わって、相手も押さえられるようになって、時間を作れるようになったかなと思います」。努力を重ね、レギュラーポジションを獲得。高校最後の晴れ舞台に堂々と乗り込んできた。

 初戦の市立長野高(長野)戦は先発出場したものの、シュートはゼロ。それでも簡単に折れるわけにはいかない。やっと手にした出場のチャンス。試合に出られない仲間が、自分の立ち振る舞いを見つめている。3回戦。長崎総合科学大附高(長崎)との一戦にも、福重良一監督は芦谷の名前をスタメンリストに書き込む。

 その瞬間は、後半13分にやってきた。相手の横パスをカットしたMF阪田澪哉(2年)が、そのままドリブルで縦へと突き進む。チーム屈指の駿足ドリブラーに遅れまいと全力で並走すると、右のポストを直撃した阪田のシュートのリバウンドが、目の前にこぼれてくる。

 無我夢中で蹴り込んだボールが、ゴールネットを確実に揺らす。実は阪田のシュートはDFをかすめ、ポストに跳ね返った軌道が、再びGKに当たってから芦谷の足元へこぼれてきている。まさに強い想いが呼び込んだ、執念の1点。自身の大会初シュートが、そのまま大会初ゴール。重ねてきた努力は、裏切らなかった。

「ゴールを決めた時はBチーム、Cチームの選手の想いを感じて、僕が試合に出ていたので、とても嬉しかったですし、ゴールを決めた後に『ナイスシュート!』という声がスタンドから聞こえてきて、『また次の試合も絶対決めたいな』と思いました」。芦谷の努力を間近で見てきたチームメイトは、ピッチでも、スタンドでも、みんなが笑顔。愛される性格がそのシーンからも伝わってくる。

 次の相手は青森山田高(青森)。4か月前に対戦したインターハイでは、メンバーにすら入っていなかった男にとって、おそらくは今までのキャリアの中でも最大の難敵だ。「夏は京都から応援していたんですけど、押し込まれる時間が続く中で、前でも時間を作っていかないといけないので、次は周りのために時間を作って、攻撃の基点を作れればいいなと思っています」。未知なる相手に心は躍る。

“魔法のくすり”を処方するストライカー。大一番となる準々決勝でも、芦谷のゴールをみんなが待ち侘びている。

(取材・文 土屋雅史)
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