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歯周病菌がもたらす“免疫暴走”で不調が全身に…アルツハイマーや脳梗塞などの原因にも

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 9時26分

 実際、こんな例もあります。かなり昔に奥歯の治療した際の詰め物が腐ったため、歯科医に歯根の奥までドリルで穴をあけてもらい、歯根管手術を受けた方がいたのですが、このときに歯周病菌が血液中に入ってしまいました。これにより炎症性サイトカインが脳にまで到達し、うつ病を発症した方がいらっしゃるのです。

 もちろん、歯科治療や歯石ケアを受けたらすぐにこのようなことが起こるわけではありません。日ごろから定期的に口内ケアを行ったり、免疫暴走が起こらないよう生活習慣に気をつけたりしていれば、そうそう起こりません。

 逆に、なかなか糖尿病が治らなかった方が歯科できちんと歯周病ケアをしてもらったところ、糖尿病が治ったという例もあるので、積極的なケアをお勧めします。

 以上、歯周病を例にお話ししましたが、肥満だったり化学物質の摂りすぎなどが常態化していたりすれば免疫暴走が生じるため、同じことは起こりえます。

このように体内が免疫暴走状態だと、何かしらの病態が現れるおそれがあるわけですが、現れるのは「その人の最も弱いところ」ということになります。肌が弱い人は肌、血管が弱い人は血管、腰が弱い人は腰、太りやすい人は肥満、というように現れ方はさまざまなものの、そのおおもとには免疫暴走があるのです。

■加齢臭も免疫暴走から生じる?

 中高年になると出てくると言われる、加齢臭。そのおもな原因は、皮脂成分が酸化することで発生する「ノネナール」という成分ですが、免疫暴走が加齢臭に影響を与える可能性もあります。免疫暴走状態だと、皮脂腺から分泌される皮脂中に「パルミトレイン酸」という脂肪酸が増えたり、それが酸化しやすくなったりし、加齢臭が強まることも考えられるのです。

 体内が免疫暴走状態だと、体の放つ臭いまで変わってくる可能性があるということです。

  ◇  ◇  ◇

▽飯沼一茂(いいぬま・かずしげ)

 医学博士。純真学園大学客員教授。日本機能性免疫力研究所代表。1948年生まれ。1971年立教大学卒業後、ダイナボットRI研究所(現:アボットジャパン)入社。1987年大阪大学医学部老年病医学講座にて医学博士取得。1995年、米国アボットラボラトリーズ・リサーチフェロー。2008年よりアボットジャパン上級顧問。2010年より国立国際医療研究センター・肝炎免疫研究センター客員研究員。2012年から純真学園大学客員教授。ホルモン、腫瘍マーカー、感染症マーカーの測定法の開発に多く携わる。特に、C型肝炎マーカーの開発によりC型肝炎の輸血による感染を撲滅し、世界的な評価を得た。そのほか、HIVマーカーの測定法開発やエイズ撲滅のボランティア活動を積極的に行っている。

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