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ずっと夢を見ていた…歌手の井上あずみさん脳出血での緊急手術を振り返る

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月23日 9時26分

ずっと夢を見ていた…歌手の井上あずみさん脳出血での緊急手術を振り返る

井上あずみさん(提供写真)

【独白 愉快な“病人”たち】

 井上あずみさん(歌手/59歳)=脳出血

  ◇  ◇  ◇

 去年の8月26日でした。デビュー40周年記念コンサートの当日リハーサル中、最後の曲である「君をのせて」を歌い終わったときに「脳出血」で倒れてしまったんです。開場の30分前の出来事でした。

 頭の右側がすごく痛くなって、それをアピールするために手で頭を押さえながら倒れ込みました。でもその瞬間に「あ、これは高価なマイクだから落としちゃいけない」と思って、床にそっと置いたのを覚えています。そういう演出かと思ったスタッフもいたくらいに丁寧に置いたんですよ(笑)。

 でも記憶はそこまで。後から聞いた話では、舞台袖から駆け寄ってきた娘に、「わたしの代わりにやって」と言い続けていたそうです。娘も歌手ですし、40周年記念で遠方からもたくさんの人が来てくれていたので、どうしてもやってほしかった。じつは歌いながら、本番が終わった後の打ち上げのことばっかり考えていたんです(笑)。「大成功!」って乾杯して、お礼の言葉はどうしようって。だけどコンサートは中止。開場時間になっても扉を開けることができず、最寄りの駅まで長蛇の列ができて大変だったと聞きました。

 ちゃんと意識が戻ったのは、緊急手術から3日後でした。先生の判断で3日間は意図的に意識を戻さなかったそうです。というのも、私はもともと高血圧でずっと薬を飲んでいました。でも飲むと血圧が下がって眠くなってしまうので、コンサートの日は飲まずにいたのです。それが出血の原因だったみたい。術後も血圧が安定せず、そのまま起こすと脳に負担がかかるという理由でしばらく眠ったままでした。

 私はその間、ずっと夢を見ていました。「お花畑が見えた」という話をよく聞きますけど、私の場合は沖縄の景色でした。なんで沖縄だったかわからないんですけどね(笑)。夕暮れのきれいな海と、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に出てくるような白い竜が空を飛んでいました。

 3日寝ていたおかげで、目覚めた後も手術による痛みがほとんどなくて助かりました。

 手術は、頭蓋骨にひとつ穴を開けて行う内視鏡手術です。脳出血は出血の場所や量によっては手術をしないこともあるようですが、私の場合は血だまりが直径7センチと大きかったので手術で取り除きました。

 1週間はICU(集中治療室)で過ごし、次の1週間は一般病棟、それからリハビリ病院に移って、5カ月入院しました。左手と左足が動かない状態から、今は夫の介助があればトイレまで歩いて行けるようになりました。ちょっとの段差なら上れるようにもなったんですよ。

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