真田広之『SHOGUN 将軍』でエミー賞18冠 子役からの紆余曲折「世界のサナダ」までの軌跡
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分
「ラストサムライ」(03年)に出演してからは、真田広之は拠点をアメリカに移して活躍したが、たとえば「忠臣蔵」を翻案したキアヌ・リーブス共演のハリウッド映画「47RONIN」(13年)で大石内蔵助を演じても、違和感のある侍の生活ぶりや「忠臣蔵」の世界を麒麟まで登場させるファンタジーに変えてしまう海外の作り手の考え方と、長い年月をかけて本格的な時代劇の表現を身に付けてきた真田との間に、ギャップがあったのは否めない。
その違和感を払拭して、日本人をルーツに持つ俳優を日本人の役に起用し、衣装や小物、所作や言葉遣いまで、すべて日本の時代劇にのっとった作り方をしたのが「SHOGUN 将軍」である。7割が日本語のセリフという、非英語作品がエミー賞の作品賞を受賞したのは初めてだが、真田にとってはようやく「たそがれ清兵衛」の先に進んだ、時代劇を作れたという思いがあるのではないか。
彼は授賞式のスピーチで「本作は東と西が出合う夢のプロジェクトでした」と言ったが、ここで使った「EAST MEETS WEST」というフレーズは、彼が主演した95年の岡本喜八監督作のタイトルでもある。西部劇と時代劇が融合した娯楽作を狙ったその映画は、予算やスケジュールの制約もあり、監督の熱意は感じられるが成功作とは言い難かった。時を経て、理想的なEAST MEETS WESTをかなえた真田広之が、次にどんな時代劇を目指すのか。今後作られる「SHOGUN 将軍」の続編にも期待したい。
(金澤誠/映画ライター)
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エミー賞受賞の波及効果が広がっている。●関連記事【もっと読む】真田広之「SHOGUN 将軍」エミー賞18冠の傍らで柳沢慎吾が大ブレーク!期待膨らむ「ひとり甲子園」の次…では、柳沢慎吾に恩恵が出ている様子を伝えている。
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