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テイラー・スウィフトに大リーグ…その価値と市場を維持するための米大統領選(鈴村裕輔)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分

テイラー・スウィフトに大リーグ…その価値と市場を維持するための米大統領選(鈴村裕輔)

歌手のテイラー・スウィフト(C)ロイター

【メジャーリーグ通信】

 カマラ・ハリス(民主党)とドナルド・トランプ(共和党)が初めて直接対峙した米国大統領選挙の討論会後、世界中の耳目を集めたのが、歌手のテイラー・スウィフトによるハリス支持の表明であった。

 各界の著名人が支持する政党や候補者を明らかにし、政治活動に携わるのは、米国において珍しいことではない。スウィフト自身もジョー・バイデンとトランプによる2020年の大統領選挙で前者を支持したように、政治的な立場を示している。

 しかし、これはスウィフトが米国の政治に対して強い関心を抱いていたり、著名人の務めとして社会問題に積極的であろうとするだけでなく、歌の内容や服装、あるいは化粧法にとどまらず、生き方そのものが人々から支持され、手本とされている結果である。

 特に米国において、スウィフトは女性の尊厳や地位の向上を実現する存在として認められている。にもかかわらず、女性問題を抱えたり女性を蔑視する発言を繰り返すトランプが「テイラーが自分を支持している」という趣旨の投稿をSNSに行ったり、今回の選挙戦でバイデンや民主党への支持を表明しなかったりと、一部では「テイラーは隠れトランプ派ではないか」と指摘されていた。

 こうした疑念はスウィフトにとって看過できないものであった。そのため、人々の関心が高まる討論会に合わせて立場を明らかにすることで、自らの価値を維持したのである。

 もちろん、スポーツ選手も米国においては社会の規範的な存在として、しばしば政治問題に関わる。だが、今回の大統領選挙に関する限り、スウィフトのようにその行動や判断が大きく取り上げられることはない。

 しかも、大リーグは機構や経営陣の多くが共和党を支持しつつ、民主党にも献金をするなど、どちらが政権党となってもよいように、政界と適度な距離を保ち続けている。

 また、選手の間では民主党の支持が根強く、これまでにもハリスが選手会の存在を重視する発言を行っている。

 これは、労使間での支持政党が異なる米国企業の状況と重なる光景だ。

 大リーグの政治への対応は、スウィフトとは異なる態度であるとはいえ、100億ドルを超える市場を守るための現実的な政策に他ならないのである。

(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)

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