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飛ばない古江彩佳の「総合力」…米女子ツアーで日本人初「ベアトロフィー」も視野(羽川豊)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分

飛ばない古江彩佳の「総合力」…米女子ツアーで日本人初「ベアトロフィー」も視野(羽川豊)

古江彩佳(C)共同通信社

【羽川豊の視点 Weekly Watch】

 総勢9人の日本人選手が参戦した今季の米女子ツアーも終盤に入りました。次戦が終わると中1週でアジアシリーズに入ります。ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)レースで首位に立つ西郷真央はこの位置をキープして欲しいですが、平均スコア「2位」からの逆転を狙っているのが古江彩佳でしょう。現在のアベレージは70.06。トップのN・コルダの69.92を視野に入れています。

 年間平均スコアトップの選手に与えられる「ベアトロフィー」はたいへん名誉な賞です。通算60ラウンド以上、ダブルス戦やマッチプレーなどを含む同70ラウンド以上の条件をクリアしなければならず、過去に獲得した日本人選手はいません。昨季は69.53でトップのJ・ティティクル(21)から7位のコ・ジンヨン(69.98)までが69台。今季も70台ではタイトルは厳しいとみています。

 年間平均スコアが69台ということは、シーズンを通して波が少なく、「総合力」が高いことを意味します。第1打はドッグレッグホールやバンカー越えでも狙ったエリアへ自信を持って運べる。アイアンも縦の距離感が安定し、ピン方向へ飛んでいく。好調時でも風の影響などでグリーンを外すことはありますが、上げる、転がす、傾斜でワンクッション入れるなど多彩なアプローチの技を持ち、パットはどんなラインでも入る気がするなど、すべてがイメージ通りいくことが多くなければ年間「60台」のアベレージは実現しません。

 米女子ツアーは広大な米国大陸だけでなく、欧州やアジアの国々も転戦します。異なる芝質を相手にアンダーパーでプレーすることは容易ではありません。古江も1年目は芝の違いに戸惑っていましたが、3年目の今年はアプローチ、パットとも格段によくなりました。米女子ツアーで戦う難しさは、実はここにあると言っても過言ではないのです。

 また、トッププロでも目線やアドレス、ボール位置、クラブ軌道などは、気づかないうちに微妙にズレてきます。ボールが曲がり出したり、違和感を覚えたら試合後やスタート前に修正する。その能力も「総合力」に含まれます。

 153センチと小柄な古江の平均飛距離(252.1ヤード)はツアー124位です。飛距離はヘッドスピードで決まるので、無理をせず持ち球のドローボールで攻めるスタイルを徹底し、ショットとパットの精度を上げて戦っています。

 思い出すのは7月のエビアン選手権最終日。18番パー5の第2打。自分の距離を信じ、6番アイアンでグリーンに乗せ、3メートルのイーグルパットを沈めて勝負を決めました。アップダウンとフェアウエーの傾斜、大きなグリーンで距離の読みが難しいコースでの優勝こそ古江の真骨頂です。

 今季はここまでトップ10入り10回はツアー1位。フェアウエーキープ率(81.5%)6位、パーオン率(72.4%)7位も堂々たるもの。西郷の新人賞と古江の日本人初タイトルを期待せずにはいられません。

(羽川豊/プロゴルファー)

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