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スノーピークはキャンプブームを読み違えた…業績急拡大の反動でコロナ後に急落悪化

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分

スノーピークはキャンプブームを読み違えた…業績急拡大の反動でコロナ後に急落悪化

スノーピークのロンドン店(C)共同通信社

【企業深層研究】スノーピーク(上)

 株式市場では名前の通った企業の上場廃止が目立つ。非上場にするための費用を創業家も出すマネジメントバイアウト(MBO)という手法がとられる。今年に入ってからも、給食大手のシダックス、通信教育のベネッセホールディングス、大衆薬の大正製薬ホールディングスが上場廃止となった。食品の永谷園ホールディングスもMBOが成立し、今週27日に上場廃止となる。

 東京証券取引所が、「PBR(株価純資産倍率)1倍割れの解消」など上場企業に体質改善を要請したことが大きい。東証のお墨付きを得たアクティビスト(物言う株主)が社長交代や事業売却を迫るケースが増えてきた。

 それに危機感を抱いたのが同族企業だ。アクティビストの攻勢をかわすために上場廃止を選択した。それを手助けするのも、またファンドだ。

 アウトドア用品のスノーピークは6月19日、新潟県三条市の本社で開いた臨時株主総会で、株式の非公開化に向けた株式併合や定款変更などの議案を99.65%の賛成で可決した。承認を受け、7月9日、東証プライム市場を上場廃止になった。

 上場廃止後も山井太社長が経営にあたり、海外事業やM&A(合併・買収)も活用したビジネス領域の拡大を図っていくとしている。

 スノーピークは2月20日、MBOにより株式を非公開にすると発表した。米投資ファンドのベインキャピタルが設立した会社が1株1250円でTOBを実施した。

 スノーピークはTOBへの応募推奨を決議。山井社長、山井氏の一族やその資産管理会社はTOBに応じず、ベインがTOBを完了したのちに、公開買い付けをしたものをスノーピークの親会社として株式交換を実施し、4月にMBOが成立した。

 ベインが投じた買収資金は480億円。新生スノーピークの株主構成はベインが55%、山井社長らの創業家が45%。株式非公開後も山井社長が経営にあたり、同族経営が維持される。

 ベインはスノーピークを支援し、企業価値を向上させていく。成長したスノーピークの株式を売却して利益を得るのが狙いだ。

 新型コロナ禍の影響で、空前のキャンプブームが起こった。3密(密閉・密集・密接)を避けるためにアウトドア活動が注目され、キャンプが人気を集めた。特に、2020年から22年にかけて、多くの人が新たにキャンプを始めた。

 キャンプブームを追い風にスノーピークの業績は急拡大した。コロナ前の19年12月期に142億円だった売上高は、20年同期に167億円(前期比17.6%増)、21年同期は257億円(同53.4%増)、22年同期には307億円(同19.7%増)にまで拡大した。

 だが、ブームは一過性で終わる。コロナによる行動制限がなくなり、旅行などレジャーが復活した23年、一気に暗転する。23年12月期の売上高は前期比16.4%減の257億円と急落し、純利益は同99.9%減の100万円にまで落ち込んだ。

 スノーピークの業績悪化をキャンプブームの終焉を象徴するものとして、大々的に報じた。

 山井社長は決算説明会で「20年以降、アウトドア業界全体がコロナの追い風を受けて急成長してきたが、巡航速度に戻った。その予測を見誤った」と反省の弁を述べた。

 MBOによる株式非上場の道を選択したのは、キャンプブームの反動で業績が悪化したからだ。

(有森隆/経済ジャーナリスト)

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