「タウリン」の摂取量が多い人ほど膝の伸展筋力が増加…立つ、座る、歩くに関係
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分
タウリン摂取源で最多はカキなどの貝類
魚介類などに多く含まれるタウリン。国立長寿医療研究センター老化疫学研究部の大塚礼部長らが、中高年にとって耳寄りな研究結果を発表した。
研究は、国立長寿医療研究センター、北翔大学、大正製薬の研究グループによって行われた。老化・老年病予防策を検討するコホート研究「NILS-LSA」の2002~04年調査(ベースライン)および10~12年調査(フォローアップ)に参加した40歳以上を対象に解析。まず、ベースラインで3日間の食事調査を受けた人の食事からタウリンの摂取量を計算した。
「タウリンは一部の陸上植物を除けば、ほとんどの食品に含まれていますが、含有量としては魚介類が多く、調査でも8割以上を魚介類から取っていました。ただ、タウリンを少ししか取っていない人が多く、約9割の中高年者は、1日300ミリグラムよりも摂取量が少ないことが分かりました」(研究グループのメンバーの一人、大正製薬・製剤第1研究室の堂本隆史氏=以下同)
参加者には、ベースライン、8年後のフォローアップと、ともに体力測定も実施した。具体的には、膝の伸展筋力、長座位前屈(脚を伸ばして座り、両手の指先を何センチ前に伸ばせるか)、目を閉じたままの片足立ち、最大歩行速度だ。
「1日当たりのタウリン摂取量が低い人(平均91ミリグラム)、中程度の人(平均173ミリグラム)、高い人(平均363ミリグラム)の3群に分け、体力測定の8年間の変化を調べたところ、体力測定の項目のうち、膝の伸展筋力のみが有意に変化していました。タウリン摂取量が多いほど、膝伸展筋力が増加していたのです。65歳以上に限定すると、タウリン摂取量に関係なく膝伸展筋力は減少していましたが、タウリン摂取量が高い人ほど減少幅が小さく、筋力が維持される傾向が示されました」
膝伸展筋力は脚の筋力の中で、立つ・座る・移動するなどの動作に最も関与するとされている筋力である。最近、東京都健康長寿医療センターの大田崇央氏らは「膝伸展筋力低下が高齢女性のうつ発症リスクを招く」といった内容の論文を発表。また、別の論文では「高齢患者において一定の膝伸展筋力を下回ると、歩行自立例の割合が減少する傾向がある」と報告されている。
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なお、前述のように、タウリン摂取量は高値のグループでも平均363ミリグラム。これは“頑張らないと取れない量”ではなく、1日1食、魚介類をメイン食材に取り入れれば十分に達せられる。
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