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【ドラフト選手の“家庭の事情”】オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月23日 9時26分

 前出の楽天リトルシニアの古川コーチはその間、麦谷家から相談を受けたという。

「当時の麦谷は『野球はもういい』という表情でした。リトルシニアの部員の保護者で大崎中央高で教員をやられている方がおり、それが(転校の)決め手になったのかもしれません」

 健大高崎で学年末テストを受け、1年生を修了。大崎中央に2年生として編入した。群馬で学年末テストを受けるため、尚文さんは1週間会社を休み、学校近くのホテルに同宿。4日間のテスト期間、尚文さんは車で送り迎えをした。

 大崎中央では早速、野球部に入部。同校野球部の平石朋浩監督(37)は、「まずは技術的なことより気持ちのケアが必要だなというのは接していて感じました」と、こう続ける。

「麦谷が入寮するタイミングで部員を集めて(転校した)経緯を伝え、『一度決めた進路を変えるのは、すごく勇気のいること。そこを受け入れて一緒に頑張っていくのが大事だよね』という話をしました。麦谷と同級生数人で自主練習するなど、『多く交わる』ことを意識しました。1カ月も経たないうちに他の部員たちと仲良くなっていたので、安心しました」

 3年夏の宮城県大会(コロナによる代替大会)は3回戦で敗れたものの、2試合で6盗塁を決め、確かな足跡を残した。富士大では、1年春からセンターのレギュラーを獲得。走攻守三拍子揃った大型外野手として、オリックスから1位指名された。尚文さんは言う。

「本人はあの(健大高崎での)出来事について、『今はどうでもいいんだ』と言っています。私自身も、もういいのかなと。(1位指名でプロ入りする)今の状態になったことで、もう見返せたんだと思っています」

▽麦谷祐介(むぎたに・ゆうすけ)2002年7月27日、宮城県仙台市出身。仙台市立東四郎丸小2年のとき、「楽天アカデミー」(軟式)で野球を始める。袋原中学では「楽天リトルシニア」に所属。高校は健大高崎に進むも、1年の冬に中退して大崎中央に編入。甲子園出場はなし。富士大では1年春から中堅のレギュラーに定着し、4年秋には優秀賞を獲得。本塁打王1回、盗塁王5回、打点王2回。180センチ。83キロ。右投げ左打ち。家族は両親と姉。

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