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「年収106万円の壁」撤廃で年間9.6万円の負担増に…働き控え解消の先に待つのは「雇い控え」

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月13日 9時26分

「年収106万円の壁」撤廃で年間9.6万円の負担増に…働き控え解消の先に待つのは「雇い控え」

パートの従業員の人たちまで負担増の網にかける(C)共同通信社

「年収106万円の壁」が撤廃される運びだ。厚労省の社会保障審議会が10日に大筋で了承。この壁は厚生年金に加入する年収要件を指す。現状パートなどで働く短時間労働者(学生除く)の加入要件は月収8万8000円以上、年収換算106万円。そのため、労使折半の保険料負担を避けようと労働時間を調整し、働き控えを招く要因となっていた。

 政府は来年の通常国会に改正法案を提出。2026年10月に年収要件の撤廃を目指す。勤務先の従業員数の要件(51人以上)もなくし、週の労働時間が20時間以上ならば、年収を問わず厚生年金に加入することになる。

「加入対象者は約110万人。うち80万人は主に会社員に扶養される配偶者や60歳以上の高齢者で、これまでの保険料はゼロ。新たに負担が生じます」(厚労省年金局数理課)

 厚労省の試算によれば、新たな本人負担は年収106万円で月額8050円、年間9万6600円に上る。急激な手取り減の緩和措置として保険料の企業負担率を増やし、応じた企業には支援策を講じる見込み。それも時限的な特例に過ぎず、働き控えどころか、負担増に耐え切れない事業者による「雇い控え」が増えかねない。

 老後の年金給付も増えるというが、上乗せされる厚生年金の給付額は年間5万4000円(加入期間10年)。よほど長生きしなければ負担増の元は取れないだろう。

■過去22年で失われた手取りは「51万円」に

 そもそも、03年のボーナスの社会保険料アップを皮切りに、04年の配偶者特別控除の一部廃止、06~07年の定率減税の縮小・廃止、11~12年の年少扶養控除の縮小・廃止などにより、社会保険料の負担はうなぎ上り。ファイナンシャルプランナー・深田晶恵氏の試算によると、同じ額面年収700万円でも、手取り額は02年の587万円から24年には536万円に減少。なんと22年間で51万円も失われているのだ。

「社会保険料は所得税や住民税と共に給与から天引きされる事実上『第3の税金』。年収106万円未満のパート従業員まで負担増の網にかけるのは応能負担の原則に反し、正気の沙汰ではない。課税最低限『103万円の壁』撤廃の議論に便乗した動きで、議論を主導する国民民主党は『消費税率5%へ引き下げ』を総選挙の際は訴えていたはず。すっかり後景に追いやられ、年収の壁だけが消費税減税の論点ずらしに利用されています」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)

「五公五民」の江戸時代の年貢じゃあるまいし、明らかに取り過ぎだ。

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