高齢者を言葉巧みに…老人ホーム「入居権」詐欺の一部始終

日刊ゲンダイDIGITAL / 2017年3月17日 9時26分

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「老人ホームの入居権を譲ってもらえませんか」

 高齢者たちにこんなウソの話を持ち掛け、昨年10月から全国で計約70件、総額約2億円をダマし取った詐欺グループの男3人が御用だ。

 15日までに詐欺の疑いで警視庁に逮捕されたのは無職・金崎龍介(28)、無職・瀧澤竜之介(26)、飲食店店員・米谷潔(42)の3容疑者。

 手口はこうだ。

 金崎容疑者らは今年3月、広島県尾道市に住む80代の無職女性に架空のあっせん業者を装い、こんなウソの電話をかけた。

「近所に尾道市民が優先的に入居できる老人ホームができるのですが、他の市に住む方が何とか権利を譲って欲しいと言っている」

 女性は親切心から快諾。

「金崎容疑者らは『まずは入居申請して名義変更をお願いできませんか』と、手続きするよう持ち掛けた。そこで運営会社を装った別のかけ子が、タイミングを見計らって『名義貸しは違反です』と連絡を入れ、慌てた女性に対し、『大丈夫です。ただしトラブル解決には示談金が必要です』と、言葉巧みに250万円をダマし取ったのです」(捜査事情通)

 自分が犯罪に巻き込まれた後ろめたさがあったのか、女性は数回に分けてアジトとは別のマンションにカネを送ったという。

「摘発のきっかけは、東京・八王子のアジトから約6000人分の名簿が見つかったこと。名簿に載っていたのはトメやタエというような、いかにも高齢者っぽい名前ばかりだったそうです。3人は、それぞれダマし取った金額に応じ、5%の成功報酬を受け取っていたようです。3人はかけ子で、警視庁はほかにも出し子や受け子がいると見て調べを進めています」(前出の捜査事情通)

 実はこのような手口は今に始まったものではない。

 2010年ごろから「老人ホーム入居権買え買え詐欺」と名付けられ、消費生活センターなどに被害情報が寄せられていた。

 ただし当時は「入居希望者は多いが、権利を購入できなくて困っている」「選ばれた人しか入居できない」「入居費用は払うので、人助けだと思って代わりに申し込んで欲しい」と、本人に巨額の費用を支払わせていた。それが今回さらに高度な手口に。

 老人ホームの入居は切実な問題だ。親切心や同情心を巧みに悪用し、犯罪者扱いしてカネをダマし取った金崎容疑者らは、悪質極まりない。

■高齢者の個人情報 1件5円~

 金崎容疑者ら詐欺グループは6000人分の高齢者の名簿を持っていた。「名簿屋」で検索すればすぐにヒットするが、高齢者の個人情報は取扱業者から簡単に手に入る。

「おおよそ1件5円~。氏名、住所、電話番号に加え、生年月日、職業などと情報が増えるほどに20、30円と値が上がっていく」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)

 1件30円でも、6000人分で18万円。それで2億円を荒稼ぎだ。

「セールス電話が1本でもかかってきたら、名簿屋に情報が流れている。詐欺被害を防ぐには、面倒でも固定電話の番号を変えること。費用は3000円もしません」(岩波拓哉氏)

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