深まる安倍首相の孤立 トランプ「北と対話用意」の本気度

日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年1月13日 9時26分

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「ロケットマン」にラブコール/(C)AP

 南北閣僚級会談をめぐり、トランプ米大統領が前のめり発言を連発している。韓国の文在寅大統領との電話協議で「南北間の対話が行われている間はいかなる軍事的行動もない」と言及。「適切な時期と条件下での対話の扉は開いている」と米朝対話への用意とヤル気を示したという。核・ミサイル開発に猛進する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と小バカにし、挑発を繰り返してきたのがウソのようだ。手のひら返しの裏には、姑息な計算が見え隠れする。

■“歴史的偉業”でロシアゲート封殺

 大統領選でのロシアとの共謀が疑われるロシアゲート疑惑は、政権のアキレス腱だ。モラー特別検察官が主導する捜査は長男のジュニア氏や娘婿のクシュナー大統領上級顧問に迫り、トランプ本人への直接聴取が取り沙汰され、米国民の不信はますます高まっている。世間の関心をそらし、疑惑にどうフタをするか。トランプの頭の中は、それでいっぱいだ。

「昨年末にエルサレムをイスラエルの首都と認定すると発表したのも、ロシアゲート隠しが狙いです。国際社会の反発を横目に北朝鮮の脅威を煽り軍事行動をチラつかせ続けていたのも、同じ流れだったのです。その一方で、北朝鮮と緊密なロシアが、昨年秋あたりから米朝対話の仲介に本腰を入れ、平昌五輪とロシア大統領選を終えた来春をメドにトップ会談がまとまりそうな気配が出てきた。それが実現すれば、軍事衝突危機から一転、電撃融和への道筋も見えてくる。国際社会も歓迎するでしょう。そうなれば、歴史的偉業の立役者となり、ロシアゲートは吹き飛ばせる。トランプ大統領が毛嫌いするオバマ前大統領が進めた『戦略的忍耐』も全否定できる。どうやらそう読んでいるようなのです」(外交事情通)

 南北会談以降、トランプは確かにイケイケ。ロシアゲートをめぐる直接聴取についても「共謀はなく、誰もいかなるレベルの共謀も見つけていない。事情聴取を受けることはありそうもない」と牽制。勝算があると踏んでいるからだろう。

 こうなってくると、「日米は100%ともにある」「最大限の圧力で一致」などと拳を振り回してきた安倍首相は、いい面の皮だ。

 12日からの欧州歴訪は、対北包囲網の強化が狙いだというからズレている。バルト3国とブルガリア、セルビア、ルーマニアをめぐるが、そもそも最初に訪問するエストニアを除く5カ国は北朝鮮と国交がある。

 このタイミングで、安倍首相の話に耳を傾ける首脳がどれほどいるだろうか。追い打ちをかけるように、韓国は慰安婦問題に関する日韓合意を事実上、反故にした。

「安倍首相は対抗措置とばかりに韓国が要請する平昌五輪開会式の出席を拒んでいるようですが、いつまで突っ張っていられるか。9月の自民党総裁選で3選を狙う安倍首相は東京五輪でホストを務めるつもりでしょうが、平昌五輪を足蹴にすれば、東京五輪に韓国大統領が出席することはまずない。文在寅大統領の任期は2022年までです」(朝鮮半島情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏)

 この間、「米国第一」を叫ぶトランプは北朝鮮危機をセールストークに、日韓に米国製武器を大量に売りつけた。シメシメといったところだろう。かたやトランプの威を借りて対立をたきつけてきた安倍首相の孤立は深まっている。

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