日韓合意の反故を非難 感情論に走る安倍政権の大人げなさ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年1月14日 9時26分

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安倍首相(C)日刊ゲンダイ

 韓国の文在寅政権が慰安婦問題に関する日韓合意を事実上、反故にしたことに安倍政権はカンカンだ。12日はとうとう、トップの安倍首相自ら韓国の新方針を初めて批判。「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない」と露骨に不快感を表した。

 菅官房長官は「合意は1ミリたりとも動かさない」と青筋を立て、河野外相は「政権が代わっても責任をもって(合意を)実施しなければならない」などと激しく非難した。外務省幹部も「合意を変更しようとするのであれば、日韓関係が管理不能となる」と繰り返し抗議しているという。

 政府内では韓国側の新方針への対抗措置とばかりに、2月9日に開かれる平昌冬季五輪の開会式への安倍首相出席に慎重論が強まっているが、ちょっと感情的になりすぎではないか。

 そんなに韓国政府に合意の長期的な順守を求めるなら、なぜ安倍政権は条約の形式を取って国会で審議し、日韓両国の立法府も巻き込んだ合意を形成しなかったのか。日韓合意は2015年12月28日、年末のドサクサに日韓両外相が共同会見を開いて発表しただけ。合意内容について公式な文書すら交わしていなかったのだ。

「日本政府が今も問題視する慰安像の撤去についても、合意内容は韓国外相が口頭で『適切に解決されるよう努力する』と語るにとどまりました。『努力』なんて、いかにも玉虫色の表現ですが、それを『了』とし『最終的かつ不可逆的な合意』と言い張ったのは安倍首相なのです」(元外交官の天木直人氏)

■やっつけ仕事をタナに上げ

 いかにも「やっつけ仕事」の合意に至ったのは、日韓両政府とも当時のオバマ米大統領の強い要請に嫌々ながら従ったに過ぎなかったからだ。当時、慰安婦問題をめぐり完全に冷え切っていた日韓関係を懸念したオバマの「仲裁」という名の「命令」により、安倍政権は渋々「謝罪」を口にしただけなのである。

 ぞんざいな合意をタナに上げ、怒りに任せて韓国政府に激しい言葉をぶつけるとは、この政権はつくづく大人げない。

「新方針には『被害者らの名誉・尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力を継続することを期待する』とあり、文大統領も元慰安婦への謝罪などを要求しています。ただし、その主語はあくまで『日本』であり、『日本政府』ではない。『日本社会』とも受け取れる表現にとどめることで、日本政府の見解に異を唱えたわけではないという文政権の配慮がうかがえます」(外交事情通)

 安倍政権は文政権の心配りをむげにし、韓国国内の一部反日勢力の慰安婦問題をめぐる感情論と同じ土俵に立つつもりなら、愚かだ。

 例えは悪いかもしれないが、国と国との「合意」を一方が反故にするのは離婚交渉に似ている。昨年、松居一代のエキセントリックな言動にダンマリを貫いた船越英一郎を見習って、安倍首相も静観すべきではないか。欧州歴訪中に北朝鮮への圧力最大化を呼びかけるなら、なおさらだ。安倍自身が唱える北包囲網には韓国の協力が不可欠。日韓両国にすきま風が吹けば、金正恩を喜ばせるだけである。

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