“軍歌”騒動で謝罪 RADWIMPS「HINOMARU」が内包するトラウマ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年6月14日 9時26分

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野田洋次郎(C)日刊ゲンダイ

「軍歌ではないか」といった一部の批判や意見を受け、アーティスト本人がツイッターで日本語と英語の謝罪文を投稿する事態となっている。NHK紅白歌合戦にも出場した人気バンド「RADWIMPS」の新曲「HINOMARU」がそれ。作詞を手がけたボーカルの野田洋次郎(32)が、〈HINOMARUの歌詞に関して軍歌だという人がいました。そのような意図は書いていた時も書き終わった今も1ミリもありません。ありません。誰かに対する攻撃的な思想もありません〉(原文ママ)などと謝意を示したのだ。

 今年4月に同様に物議を醸したゆずの「ガイコクジンノトモダチ」といい、4年前にリリースされた椎名林檎の「NIPPON」といい、アーティストが政治色を感じさせるような曲を発表すると、たびたび“愛国心扇動ソング”としてバッシングの嵐にさらされる。日本のアーティストの多くは海外とは異なり、政治と距離を置くスタンスだが、音楽評論家の富澤一誠氏はこういう意見だ。

「1960年代後半から70年代にかけて学園紛争の嵐が吹き荒れた当時、フォークの神様と呼ばれた岡林信康の『友よ』は反戦フォークの象徴としてデモや集会で合唱され、反体制の英雄として祭り上げられた。以降、歌と政治は関わらないという風潮が根付いたわけですが、半世紀が経ってもいまだに当時のトラウマにさいなまれている。そもそもアーティストは表現者であり、何も発信しない方がおかしい。邦楽の発展や向上させるためにもいま一度、皆で考え、議論を交わす必要があるのではないでしょうか」

 HINOMARUは、今週14日(日本時間15日)に開催を控えたFIFAワールドカップのフジテレビのテーマソング「カタルシスト」のカップリング曲。今回の謝罪は「これ以上騒ぎが大きくならないための火消し策」(音楽関係者)という声も上がっている。しかも「カタルシスト」は絶賛売り出し中で、東急東横線の1編成8両に中吊り広告(写真)を打つなど“車両ジャック”を仕掛けている。その中吊りは、無色透明で立体的な水滴模様がついた一風変わったテイストでSNS上で話題となり、その甲斐あってか、オリコンのデイリーシングルランキング(10日付)では7位にランクイン。レコード会社「EMI Records」に中吊り広告の意図や制作事情について問い合わせると、「RADWIMPS野田洋次郎が自身のSNSで発信しているメッセージが全てになります」と、質問の趣旨とはいささか異なるツレナイ返答がかえってきたが……。

 軍歌騒動は想定外だったろうが、少なくとも、センスある中吊りは1次リーグ敗退が濃厚な西野ジャパンより練られた戦略なのは間違いない。


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