災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題

日刊ゲンダイDIGITAL / 2018年7月13日 9時26分

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天災も利用する(C)共同通信社

 いまだ被害の全容も分からない「平成30年7月豪雨」。災害対策は初動が肝心なのは常識だ。安倍首相ら政権幹部が宴会に興じていて対応が遅れたことに批判が集中している。それで安倍首相は外遊を泣く泣く取りやめ。少しは反省して災害対応に全力投球するのかと思いきや、総裁選対策と悪法成立に血道を上げているから度し難い。

■被災地視察はカジノ隠し

 被災者は不安な日々を過ごしているというのに、この期に及んで、安倍首相は総裁選の票固めに余念がない。気象庁が豪雨への警戒を呼び掛けていた5日の昼は自民党群馬県議と公邸で会食し、夜は問題になっている「赤坂自民亭」で飲んだくれていた安倍首相だが、未曽有の被害状況が明らかになってきても、総裁選対策に時間を費やしている。

「外遊中止を発表した9日は自民党の静岡県議らを公邸に招いて食事。10日は和歌山県連の幹事長から3選支持の応援色紙を贈られて、総理は『こんなの初めて』と満面の笑みを見せていました」(官邸関係者) 

 非常時に笑うなとまでは言わないが、さすがに不謹慎ではないか。こんな時に総裁選対策で地方議員を呼ぶ方も、呼ばれる方もマトモな神経とは思えない。

 さらには災害報道に隠れて、国会審議にスポットが当たらないのをいいことに、やりたい放題を加速させている。

 11日、国民の多くが反対している参院の定数増が参院本会議で可決。その日のうちに衆院に送られた。合区によって来年の参院選に立候補できない現職の救済が狙いで、比例区の定数を4増やし、埼玉選挙区の定数を2増やすものだ。

 本会議に先立つ11日の特別委員会では、反発した野党が委員長の不信任動議を提出。採決阻止を目指したが、自民は動議を否決し、採決に踏み切った。それも、野党が出した3つの対案は採決されず、自民党案のみが討論を省略して採決されるという暴挙である。豪雨の被災者より、自党の議員救済がそんなに大事か。

「くしくも同日に総務省が9年連続の人口減少を発表しました。この先も人口は減っていくのに、いま議席を増やす必要があるのでしょうか。野党や国民と約束した定数削減には手をつけず、お手盛りの選挙制度改革をゴリ押しする姿勢には国民も納得できないでしょう。そのうえ、参院内閣委は12日、13日にカジノ法案の審議を行うことを委員長の職権で決めてしまった。野党は災害対応を優先するよう申し入れたのに、この非常事態に災害復旧の要である国交大臣をカジノ法案の審議に何時間も張りつけるのです。カジノを優先された被災者の気持ちを考えると、やり切れません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 今国会の会期末まで、土日祝日を除くと実質的にはあと5日。この短期間で、安倍首相は参院の議員救済策やカジノ法案を成立させるつもりだ。

 野党は来週、内閣不信任案を提出して抵抗する方針だが、与党が圧倒的議席数を持つ現状では、時間稼ぎにしかならない。

 最後は強行採決で突破だろう。

「オウム事件の残り6人の死刑執行を強行採決の日に合わせ、悪い印象を薄めるプランも検討されているようです」(前出の官邸関係者)

 ドサクサに紛れて、この際、何でもやってしまおうという横暴。災害をも利用する卑劣さには言葉を失うばかりだ。

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