安倍首相“暴走発言”にロシア激怒…北方領土交渉打つ手なし

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年1月12日 9時26分

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プーチン政権はカンカン(C)ロイター

 安倍首相のムキ出しの“やっている感”に、ロシアのプーチン政権が激怒だ。日本の駐ロ大使が、ロシア外務省に呼び出され、猛抗議を食らった。怒りの導火線は、北方領土交渉を巡る4日の安倍首相の年頭会見など。夏の参院選に向け、「交渉前進」で人気取りを狙うはずが、いきなり自滅。“外交のアベ”が聞いてあきれるマヌケぶりだ。

 9日に上月豊久・駐ロ大使をロシア外務省に呼び出したのは、モルグロフ外務次官。北方領土交渉を巡る安倍首相の発言について、「1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約を加速するとした日ロ首脳の合意の本質を乱暴に歪め、両国の世論をミスリードするものだ」と抗議した。

 安倍首相は年頭会見で「北方領土には多数のロシア人が住んでいる。住民の方々に、日本に帰属が変わるということについて納得、理解をしていただくことも必要です」と語っていた。この発言がプーチン政権の逆鱗に触れたようだ。

「ロシアにすれば、仮に北方領土の帰属が変わろうと、住民の『理解を得る』のは、自国の役目ということ。日本政府側が言及すべき問題ではなく、安倍首相の発言は『内政干渉にあたる暴走だ』とプーチン政権は受け止めたのです」(筑波大教授・中村逸郎氏=ロシア政治)

■もがけばもがくほど足元を見られる

 プーチン政権の怒りの矛先は、安倍政権サイドの“リーク報道”にも向かう。8日付の読売新聞が1面トップで報じた「日露で賠償請求放棄案」のことである。

 読売は〈日本政府は、ロシアとの平和条約交渉で、北方4島に関する賠償などの請求権を互いに放棄するよう方針を固めた〉と報じ、情報源は〈複数の日露交渉筋〉と明記。記事によると、ロシアへの元島民の賠償請求権について、日本側が見合う額を肩代わりして補償。仮に2島返還にとどまっても、残り2島の元島民が失う土地などの財産権についても、同様に見合った額を補償することを検討中だという。

 何だか安倍政権が既に4島返還をあきらめているかのような内容だが、モルグロフ氏はこの記事と、今年を平和条約交渉の転機と位置づけた安倍首相の発言に触れ、「平和条約問題に関する雰囲気を故意にあおり、自らのシナリオを他方に押し付ける試み」と断じた。

「旧ソ連時代からロシアは北方領土について、『第2次大戦の結果、合法的に編入した』と一貫して主張。日本も無条件に受け入れるべきとの立場です。いくら補償を肩代わりしても、元島民の賠償請求権を認めれば、日本政府がロシアの『不法占拠』を主張したことになる。プーチン大統領も『侮辱』と認識したはずです」(中村逸郎氏)

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