「ドラフト候補左腕を攻略したい」…私は沖縄へ飛んだ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年5月26日 9時26分

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ドラフト候補の興南・宮城(C)共同通信社

【松坂、涌井、筒香を育てた 鬼の秘伝書】

「夏にドラフト候補の左投手を攻略したい」

 2016年夏の甲子園で1勝した際に指導した嘉手納の大蔵監督の依頼を受け、先週末、沖縄に飛んできた。

 嘉手納は昨秋、沖縄大会準決勝で興南に0―4で敗れ4強だった。今春の沖縄4強校が、それぞれセンバツベスト4の明石商と招待試合を行う。そこで来月開幕する夏の県大会へ向け、春の沖縄王者で九州大会準優勝の興南を分析して欲しいとのことだった。

 沖縄はなかなか県外との練習試合が組めない土地柄だ。すでに3月に横浜と招待試合を実施。さらに来月には日大三との試合が予定されているように、県を挙げて強化に取り組んでいる。

■興南・宮城のズバぬけた技術

 興南と明石商の試合は1―2。興南は沖縄では頭一つ抜けている。原動力となっているのは、プロ注目の左腕・宮城である。明石商相手に5回で9三振を奪った好投手。MAXは149キロで常時140キロ以上の球威がある。投球フォームはクロスステップ気味で踏み出した右足が突っ張り気味。決して良くはないことだが、リリース時の感覚がいいのだろう。コントロールが抜群にいい。スライダーやチェンジアップといった変化球もキレがある。何より牽制がズバぬけてうまい。ドラフト候補に挙げられる総合力の高い左腕で、最近では桐光学園時代の松井(現楽天)といい勝負か、少し落ちるかというレベルである。

 嘉手納では、その牽制対策を指導した。興南は無死走者一塁の守備の際、一塁手が本塁方向へ1歩か2歩出て、走者が一塁手の動きにつられた瞬間、さっと一塁ベースに戻り、このタイミングで牽制する。私が横浜時代にやっていたプレーだ。一塁手がベースを空けたからといって、リードを取り過ぎないように念を押した。

 牽制がうまいため、走者は大きなリードが取れない。興南はバント守備も鍛えられている。こんな状況でバントを転がせば、三塁手が前に出てきて二塁で封殺されてしまう。ただし、宮城は犠打の場面では球が甘くなる傾向がある。大蔵監督には「送りバントにこだわらず、打ってつなぐ場面があってもいい」と伝えた。

 1試合を見て宮城の攻略ポイントを発見した。ドラフト候補相手にチャンスは1度か2度しかない。夏の大会前に詳細は明かせないが、嘉手納がこのポイントを生かせるかがカギになる。

 昨秋は沖縄を制し、春は県2位だった沖縄水産の躍進が目覚ましい。夏の甲子園で2度の準優勝を経験しているが、1998年の夏以来、甲子園から遠ざかっている。16年秋から糸満で巨人・宮国、DeNA・神里らを育てた上原監督が就任。1年前にはメイン球場の改修が終了した。外野には天然芝が張られ、セルラースタジアム那覇と同じ両翼100メートル、中堅122メートルに拡大された専用球場が現地で話題だ。

 大本命の興南と強化が進む古豪・沖水の2強の壁。嘉手納の甲子園への道のりは険しい。

(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

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