被選挙権ナシで立候補 選挙制度の“穴”も売名利用する発想

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月12日 9時26分

写真

被選挙権ナシで立候補し、年齢要件についても訴える(加陽麻里布氏)/(C)日刊ゲンダイ

【「NHKから国民を守る党」の内幕】(11)

 足立区の有権者が投じた5548票は「死に票」になるのだろうか――。NHKから国民を守る党(N国)はこんな議論も巻き起こしている。

 発端は5月19日告示、26日投票の東京・足立区議選。N国公認の加陽麻里布氏(26)が被選挙権がないと知った上で立候補したのだ。

 被選挙権がなければ得票はすべて無効になる。つまり、「絶対に勝てない選挙」だから、常識では考えられない立候補だ。

 足立区議選の被選挙権は、足立区内に3カ月以上住み続けなければ得られない。

 しかし、加陽氏が届け出た住所は足立区のカプセルホテル。加陽氏の住民票は墨田区にあり、墨田区在住。被選挙権はないが、法律上は立候補が可能なのだ。

■被選挙権ナシで立候補し違憲立法審査権行使

 立花孝志代表(51)がうれしそうに解説する。

「被選挙権がない人は立候補しちゃいけないって、どこにも書いていない。立候補は表現の自由です」

 確かに却下する規定もない。だから選挙管理委員会も止められない。選管が選挙中に「被選挙権がない」と公表することもできない。「選挙の自由公正を害する」という判例があるためだ。

 加陽氏は定数45の区議選で、57人中8位にあたる5548票を集めた。しかし、被選挙権がないため、当然、「得票無効=0」となった。

 開票翌日の28日、加陽氏は立候補の経緯をこう説明した。

「本当は参院選に出馬をしたかったが、30歳以上でなければ出られない。この年齢要件は憲法違反ではないか。居住要件をきっかけに年齢要件についても訴えたかった」

 加陽氏は選管に異議申出書を提出し、今後は裁判を起こす予定だという。しかし、5548票は今も「死に票」の状態だ。

「違憲立法審査権を行使するには、実害を受けないと原告になれません。仕方なかった。ネットが主な活動場所ですが、街頭でも居住要件がないと話しました。隠して投じていただいたわけではありません」(加陽氏)

 しかし、ポスターや選挙公報は「反NHK」一色で「被選挙権」に関する記述は一切ない。だまされた有権者もいるはずだ。

 選挙制度の「穴」も売名に利用する。常識外れの発想を、実際にやってしまうのがN国だ。=つづく

(畠山理仁/フリーランスライター)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング