錦織圭にやはり問われる「チーム体制」 万年8強止まりの“元凶”

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月12日 9時26分

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チャンコーチ(後方)とは6年目のシーズンになる錦織(C)共同通信社

「いまのテニスで大切なことは、いかに早く、しっかりとしたチーム体制をつくれるかだ」

 テニスの4大大会をすべて制し、4大大会だけで20勝しているフェデラー(37・スイス=世界ランク3位)がこんなことを言っている。

 ナダル(33・スペイン=同2位)の3年連続12回目の優勝で幕を閉じたテニスの全仏オープン。

 そのナダルに準々決勝でストレート負けの8強止まり、4大大会どころか格下のマスターズ1000すら勝っていない錦織圭(29=同7位)はどうか。今回の全仏がそうだったように、強豪と対戦する以前にスタミナを使い果たすパターンから抜け出せないのは「チーム体制」に問題があるからではないか。

 テニス界のトッププレーヤーたちは、ひんぱんにコーチを代える。ジョコビッチ(32・セルビア=同1位)はバイダ、ベッカー、アガシ、ステパネクらをコーチに雇ったし、フェデラーにしてもイゲラス、ランドグレン、カーター、エドバーグ、アナコーン、ルティらをコーチにした。

 女子テニスの大坂なおみ(21=同1位)にしても、昨年の全米に続いて今年の全豪と4大大会を連覇した直後にサーシャを解任、新たにジェンキンスをコーチに据えた。

 ナダルがコーチを代えなかったのは、特殊な環境ゆえ。叔父のトニー・ナダルは元テニス選手でコーチ、もうひとりの叔父のミゲル・アンヘル・ナダルは元スペイン代表のサッカー選手でプロの世界を熟知していた。父親はヤリ手の建築会社経営者。マジョルカ島のマナコルにあるナダルの実家には、夕方になると一族や近所の人たちが集まってきてバーベキューをやる。ナダルもそこで一緒に飲み食いしていたという。いわば一族、町を挙げてのチーム体制だけに代えようがないのだ。

■コーチは「フレッシュでいるための存在」

 そこへいくと錦織は2014年からマイケル・チャンをコーチに迎え、今年で6年目。現在も帯同するダンテ・ボッチーニは実にIMGアカデミー時代からのコーチだ。

 チャンはサンプラスやアガシらがいた黄金時代の選手で、体格も劣っていたためストイックな猛練習でトップを維持、全仏も制している。

 練習の重要性をたたき込まれた錦織は、チャン就任1年目にいきなりマスターズ1000のマドリードオープンと全米で準優勝したが、その後、成績は頭打ちに。コンスタントに上位に進出するものの、勝ち切れない状況が続いている。

 例えば、錦織と同世代のラオニッチ(28・カナダ=同18位)はマッケンロー、モヤ、イワニセビッチ、リュビチッチと毎年のようにコーチを代えている。現状を打破するためには、錦織もコーチを代えるべきではないか。

「トッププレーヤーのコーチは、何かを教えてくれる人ではなく、選手が違う意見を聞くことによって新たな考え方を取り入れ、精神的にフレッシュでいるための存在だと思う。そのためには、まず、選手に聞く耳がないと意味がありませんが」

 とはスポーツライターの武田薫氏だ。

 テニスは年間通じて、ほとんどオフがない。トーナメントは毎週のようにあり、負けたり、休んだりすれば、ランキングを落とす。シード権を維持するためには、ポイントの大きな格上の大会で勝つか、コンスタントな成績を残さなければならない。そのためには肉体面はもちろん、精神面もフレッシュでいる必要がある。ゆえにトップクラスの選手はコーチを代えているというのだ。

 錦織の場合は技術的な問題もある。前出の武田薫氏がこう言う。

「錦織とチャンの関係は成功しました。もう、練習の重要性はしっかり学んだと思います。なので新たなステージに向けて、その師弟関係を卒業するタイミングがカギでしょう。錦織は、コーチを代えるのはいいと思うし、興味がある、ただ、自分には必要ないと話しています。日本のスポーツ界は師弟関係がねっとりしていて、なかなか切り離せない。本人がその辺を煩わしいと感じているのであれば、周辺の人が動かなければいけない。つまりマネジメントの質が問われるのです。チームは応援団じゃありませんから」

 錦織の周辺が、果たしてフェデラーの言うような「しっかりしたチーム体制」なのかどうか。その質が問われているのだ。

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