麻生大臣は年金破綻認めていた 10年以上前に論文で堂々と

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月20日 9時26分

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集中砲火(C)共同通信社

「30年間で3000万円必要」――。新たに判明した金融庁の独自試算も「誤解、不安を招くならば不適切」で頬かむりだ。金融庁の市場ワーキンググループ(WG)が報告書にまとめた「老後2000万円貯蓄」問題で、麻生太郎金融相は火消しに躍起だが、本人の言葉とは裏腹に年金不足が「政府の政策スタンス」なのは揺るがない。しかも、麻生氏はとうの昔に「年金破綻」さえ認めていたのだ。

 麻生氏は「世間に著しい不安と誤解を与えた」とし、WGの報告書の受け取りを拒否。特に問題視するのは「老後2000万円貯蓄」の前提となる次の表現だ。〈高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は5万円〉が「不適切」だと言うのだが、「5万円不足」を指摘しているのは、金融庁のWGだけではない。各省庁が麻生氏の言う「不適切」な認識を共有している。

 例えば総務省。2017年の家計調査年報は「高齢夫婦無職世帯の家計収支」として、5万4519円の「不足分」を指摘。厚労省も今年2月の社会保障審議会企業年金・個人年金部会に「高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は、月5・5万円程度となっている」とする資料を提出した。

 いくら麻生氏が参院選への悪影響を懸念し、WGの報告書の受け取りを拒否するなど臭いモノにフタをしても「不都合な事実」は消せない。そもそも麻生氏自身、10年以上も前に「年金財政の破綻」を認めていたのだ。

 08年の「中央公論」3月号に麻生氏は「消費税を10%にして基礎年金を全額税負担にしよう」と題した論文を掲載。堂々とこう記していた。

〈政府がどんなに「100年安心」と謳っても、自戒を込めて言えば、もはや信用する人は誰もいないのだ〉

 さらに〈破綻している年金財政〉〈「国民皆年金」という謳い文句は、もはや死語〉〈未納問題の解消は難しい〉と畳み掛け、こう断じた。

〈戦後の復興、経済成長があり、労働者八人で一人の高齢者福祉を支えることを前提に作られた年金制度が、二十一世紀の少子高齢化社会に対応できないのは、至極当然とも言える〉

■選挙のためなら自分の認識さえ書き換え

 身もフタもないほど「年金破綻」を認めた麻生氏は〈基礎年金の運営を保険料方式から全額税方式に改めるべきだ〉と提案。消費税率を10%(当時は5%)にし、国民年金負担も厚生年金の個人と企業の負担もなくせば、給料も上がり、消費も上向くと説いたのだ。

 この提案から11年。間もなく消費税率は10%に上がる予定だが、増税後も多くの庶民は基礎年金や厚生年金の保険料を支払うことに変わりはない。

 この間、麻生氏は首相を経験。歴代最長の6年半も財務相を務めているのに、「全額税方式」という持論を実現させようとする気配はゼロだ。

 18日の参院財政金融委員会で立憲民主の蓮舫議員に問題の論文の中身を追及されると、麻生氏はシドロモドロ。「年金が破綻するとは思っていない。年金積立金(の運用益)も44兆円増えている。前の政権の時に比べて10倍くらい増えている」「(積立金の)増え方を見ても年金はより安心になってきている」と強がってみせるのに必死だった。

 都合が悪くなれば、自分の認識さえも書き換えてしまう。こんな信用の置けない人物に「年金は安心」と言われても、より不安が増すだけだ。

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