安倍首相「他の制度示した人いない」年金議論ガン無視のトンデモ発言

日刊ゲンダイDIGITAL / 2019年6月25日 9時26分

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見直し案は山ほどある、投票で示すしかない(C)日刊ゲンダイ

 年金がアテにならないとする金融庁の報告書がなかったことにされ、年金の将来見通しを示す財政検証の公表は参院選後に先送り。国民は、年金制度がかなりヤバいことになっていると気づき始めている。今こそ、与野党超えて、制度の抜本的見直しが必要だ。ところが安倍首相は、批判や対案に全く聞く耳を持とうとしない。

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 安倍首相は22日朝の日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」に生出演した。

 辛坊治郎キャスターから「今の年金制度はもう相当に時代遅れだ。根本的に見直す必要があるのではないのか」と突っ込まれると安倍首相はこう言ってのけた。

「では(他に)どういう制度があるのかということですが、それを示した人はいません」

 オイオイ、ちょっと待った。急速な少子高齢化が進む中、これまで、年金制度の見直し案は散々語られてきたじゃないか。

■見直し案は山ほどある

 例えば、19日の党首討論で立憲民主党・枝野幸男代表は〈総合合算制度〉の早期導入を訴えた。

「家計単位で、医療、介護、保育、障害にかかるトータルの金額に上限をかける。低年金者でもその範囲で一定の医療や介護を受けられる安心をつくる」と具体的な提案を示した。

 給付水準を目減りさせる〈マクロ経済スライドの廃止〉を訴えた共産党・志位和夫委員長は、年金保険料の上限額について、年収1000万円から健康保険並みの2000万円まで引き上げ、かつ高額所得者の給付を抑制すれば、廃止の財源1兆円が捻出できるとした。しかし、番組で安倍首相は枝野提案を「意味がない」、志位提案を「乱暴な議論だ」と一蹴した。

 さらに、民主党政権時代に実現しかけた〈最低保障年金〉も再考すべき制度だ。収入がなく、保険料未払いの人でも最低でも月7万円の年金を受け取れ、上乗せ分は所得比例にする2階建て方式だ。

 政府が国民全員に無条件で生活に必要最低限の現金を支給する〈ベーシックインカム〉は、人工知能(AI)の普及で人間の仕事が減る場合に有効だとして、議論が盛んになっている。

 抜本的見直しとして、現役世代が受給世代を支える賦課方式から、〈積み立て方式への移行〉はあまたの専門家が指摘してきた。

 長年、積み重ねてきた年金をめぐる真面目な議論がなかったかのように「示した人はいません」とはよくも言えたものだ。立正大客員教授の浦野広明氏(税法)が言う。

「安倍政権が野党やメディアの批判や対案に聞く耳を持たない姿勢なのはいつものこと。年金制度についても同じ調子で対応しているのでしょう。しかし、現役世代が減少する中、年金は党派を超えて取り組むテーマです。情報を開示して、非を認めるところは認めて、早く根本的な手を打たないとどんどん傷口が広がっていきます。番組での対応を見ると、安倍首相は深刻さを認識しているようには見えません。野党は年金を争点化し、国民が参院選で民意を示すしかありません」

 参院選は〈年金選挙〉で決まりだ。

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