野茂の言葉でハッとした…プロ野球は一軍枠拡大より縮小を

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年6月6日 9時26分

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体調不良で4日の中日戦を欠場したヤクルト村上(C)共同通信社

【権藤博の「奔放主義」】

 それを聞いて、野茂英雄の言葉を思い出した。

 6月19日に開幕を迎えるプロ野球で、一軍枠の拡大が検討されているという件だ。

 コロナ禍で調整や練習を制限された選手のシーズンでの体力消耗を考慮し、現行ルールの「一軍枠29人、ベンチ入り25人」を、それぞれ2人程度、増員する。同様の理由で外国人枠も今の4人から5人に拡大する方向で協議が進んでいるというのだが、必ずしも“使える人数を増やせば、選手個々の負担が減る”とは限らない。

 私が中日の投手コーチだった2012年、次から次に投手をつぎ込もうとする監督と意見がぶつかり始めたある日、ちょうど連絡のあった野茂英雄に会った。

「これじゃあ、野手の数を減らしてでも投手の数を増やさんと足らんよ」

 思わずこぼした私に、野茂はこう言ったのだ。

「増やすんじゃなくて、減らせばいいんじゃないですか。いなかったら、代えられないですもん」

 ハッとした。チームの勝敗の責任を背負う監督は、どうしても目先の勝利にこだわる。シーズンをトータルで考えながらも、いざゲームが始まれば、その日の試合をなんとしてでも取りたいと、視野が狭くなってしまう監督が多い。選手がいればいるほど使いたくなるのなら、逆に人数を制限した方が結果的に選手の無駄遣いは防げることもあるということだ。

 コロナ禍という前例のない事態に見舞われた今季は、一軍枠拡大もあっていいだろう。現に、2日から始まった練習試合では、早くも各球団に故障者が出ている。自粛で難しい調整を強いられたうえに、ようやくグラウンドで野球ができる興奮で抑えが利かず、選手の体に負担がかかっているのは間違いない。無事に開幕を迎えたとしても、常に感染のリスクもつきまとう。さまざまな事情を考慮する必要があるのは確かだ。

■選ばれし者で戦うのがプロ

 しかし、来年以降はむしろ、一軍枠の縮小を検討してもいいのではないか。昨年、プロ野球は一軍枠をそれまでの28人から29人とした。今年、特例でそれを30人とするなら、来年は例えば27人にする。そもそも、29人は多すぎる。選ばれし者で戦うのがプロ。競争が激しくなれば、必然的にレベルが上がる。そのうえ監督の無駄遣いも減るとなれば、検討する価値はあると思う。
(権藤博/野球評論家)

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