別居中の杉良太郎を直撃「何を書かれても俺はつぶれないから」【芸能記者稼業 血風録】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年7月15日 9時26分

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杉良太郎(C)日刊ゲンダイ

【芸能記者稼業 血風録】#30

 俳優の杉良太郎(75)が長年続けているボランティア活動についてリポーターから「支援は売名ですか」と問われ、「もちろん売名だよ」と即答。続けて「私がやってきたことを全部やってから同じ質問をしてくれ」と付け足すと、質問者は沈黙してしまった。

 語り草となっている杉のエピソードを聞き、昔の杉の取材体験が脳裏に浮かんだ。これまでスキャンダルとは無縁だった杉を取材したのは1990年代初期だったと思う。

■別居中の杉良太郎の楽屋を直撃

 杉は28歳のときに元女優と結婚。現在、俳優として活躍する山田純大を含め1男2女を育てた。昔の俳優はほとんど私生活が見えてこないなか、「別居中」の情報を得て取材に動いた。別居の確認はできたが、要因はわからないまま。別居の事実を確認すべく、いきなり杉に取材を申し出た。

 杉は俳優と歌手の二刀流で多忙を極めていた時代。公演中の明治座の楽屋を同僚記者と訪ねた。楽屋口に出てきた杉は開口一番、「君たちは俺の舞台を見たことがあるのか」と聞いてきた。

「いや、ありません」と告げると、「なんの取材か知らんが、舞台を見てから取材に来るのが礼儀だろう」と言われ、その日は帰された。

 確かに、私生活の話とはいえ杉の舞台を見たことはない。記者も個人的に好きな映画や、俳優も歌手もいるが、あまり関心のない人はテレビもあまり見ない。しかし、取材対象者になった時点で仕事ぶりを見ておくのはいかに大切か、杉の言葉で気づいた。

 翌日、舞台を観劇。超満員の舞台は熱気に包まれていた。お客の大半は高齢な女性。前方席にセレブ風の女性の姿が多数見かけられた。後日、舞台関係者に話を聞いた。

「杉の舞台は政財界のご主人がいる奥さまがかなりいらっしゃる」という。事実、誰もが知る人の奥方もいて改めて驚いた。

 芝居と2部構成で行われる歌謡ショー。「すきま風」などヒット曲を流し目で切々と歌い上げる杉にお客はうっとり。歌い終わった後に恒例の額の汗を拭いたハンカチを杉が舞台前方に投げ入れる。それを受け取った人は「家宝」にしていたという。

 舞台を見終わり楽屋に伺った。取材の本題に入る前に舞台の感想を語り、杉からも演出の話を聞いて場が和んだ。初対面の杉と話にスムーズに入れたのも観劇効果と痛感した。別居の事実はあっさり認めたが、原因など多くは語らず。「好きなように書いてくれ」と言わんばかりだった。ちなみに別居報道半年後ぐらいだったと思うが、杉は離婚。1年後に伍代夏子と再婚した。

 舞台から始まった異例の取材。帰り際にも忘れられない杉の言葉があった。

「なにを書かれても俺はつぶれないよ」

 スキャンダルを報じる者として、相手をつぶす意図など毛頭ない。スキャンダルなどに動じることのない確かな実力と人気に裏付けされた杉の言葉。それは冒頭の発言に通じるものがある。(つづく)

(二田一比古/ジャーナリスト)

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