米ゴルフツアーの選手たちはなぜ「黒人差別」に沈黙するのか…ウッズはトランプと仲良し

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年9月16日 9時26分

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T・ウッズはトランプ米大統領と親密(C)ロイター=共同

 全米オープンテニスに優勝した大坂なおみが、黒人差別に抗議して死亡した犠牲者の名前を書いた7枚の黒いマスクが話題を集めた。大坂は、ウィスコンシン州で起きた警察官による黒人男性の銃撃事件の直後、当時開催されていた試合を一時ボイコットし、試合自体が延期された。バスケットのNBAプレーオフや大リーグも試合が延期され、多くの選手が抗議の声を上げた。アメリカンフットボールもグッデル・コミッショナーは抗議活動の支援を明言したが、ゴルフのPGAツアーは沈黙したままだ。

 PGAツアーは他の競技に比べて黒人選手が少ないこともあるのかもしれない。ゴルフ界の黒人代表ともいえるタイガー・ウッズは、トランプ大統領から米国の国民栄誉賞にあたる大統領自由勲章を授与されるなど、仲が良いことで知られている。トランプが差別的な発言をしてもタイガーは、「アメリカの大統領という職責については、敬意を払わなければいけない」とコメントを出していた。

■ゴルフ界は隠れトランプファンが多い

 プロゴルファーを含めて、ゴルフ界には共和党支持者が多く、保守的だ。表立ってトランプの差別発言に賛同する人間は少ないが、隠れトランプファンは多い。

 加えて、PGAツアーは政権に逆らえない立場にある。PGAツアーには2つの法人格があり、TPCなどのゴルフ場の経営などについては、一般企業と同じように税金を支払っている。一方、トーナメントに関しては、スポーツ振興やトーナメント会場のある地域振興を兼ねたチャリティー活動を行っているとして、利益を求めないNPO法人のような形で、税金が大きく軽減されている。数百億円に及ぶ、テレビ放映権収入などに対しても同様だ。

 ずいぶん前の話になるが、民主党のクリントン政権の時代、PGAツアーの優遇税制が問題になったことがある。この時は、ツアーが活発にロビー活動を展開し、クリントン大統領がゴルフ好きだったことも功を奏して事なきを得ている。

 しかし、当時からすれば、PGAツアーの収入は倍増。トップの収入が年間4億円以上というNPO法人というのもちょっと異常だ。2017年のジェイ・モナハンコミッショナーの年収は390万ドル(約4億1340万円)。今年はコロナの影響でサラリーを25%カットするという。民主党のバイデン氏が大統領にでもなれば、再びツアーの優遇財政が問題になるかもしれない。こんな時期に政治的な行動は取れないというのも、PGAツアーなのだろう。

(ゴルフライター・吉川英三郎)

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