菅野巨人残留決定で加速する 若手優良株「早期メジャー挑戦」の直訴…千賀に誠也、Z世代まで

日刊ゲンダイDIGITAL / 2021年1月14日 11時40分

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ソフトバンクの千賀滉大投手(C)日刊ゲンダイ

■好条件と年齢の関係

 先日、ポスティングによるメジャー移籍を目指していた巨人の菅野智之(31)が残留を決断した。

 渡米してメジャー球団との交渉に臨んだものの、「100%自分で納得できるものではなかった」と話し、特に条件面で折り合いがつかなかったと明かした。

 米在住のメジャースカウトがこう指摘する。

「菅野は、2019年にマリナーズと4年約58億円で契約した菊池雄星(当時27)と同等かそれ以上の条件を希望していたといわれている。メジャーが菅野が納得する契約を提示しなかったのは、31歳という年齢に付随する何らかの理由があるはずです。菅野は以前から腰に不安を抱えているようだが、例えば契約条件を左右するような『キズ』が判明したケースも想定されます。投手として数十億円規模の大型契約を締結するとなれば、獲得に乗り出した球団はメディカルチェックで菅野の『キズ』を丁寧に調べますから」

 それで言うと、ツインズの前田健太(32)は15年オフにドジャースと8年総額約30億円プラス出来高という「格安契約」を結ばざるを得なかった。前田本人が「身体検査でイレギュラーな点があった」と話したように、古傷の存在が契約内容を大きく左右した。

「投手の肩肘は消耗品。新たにメジャー挑戦する日本人選手が好条件を得るためには、メディカルチェックに引っかからないことが重要。若くしてケガをするケースもゼロではないが、使い減りしていない若いうちに挑戦した方がいい。ダルビッシュはメジャー移籍後、28歳でトミー・ジョン手術を受けた。ある程度の年齢になると、どうしてもケガが増える。菅野は29歳シーズンの19年に腰痛を患い、成績を落としている。野手に関しても年齢は大切な要素になります」(前出のスカウト)

 いずれにせよ、日本でトップクラスの実力を誇る菅野が交渉不成立になった。これが今後、メジャー志向がある日本人選手の動向に影響するのは間違いない。

 現在、数年来にわたって球団にポスティングによるメジャー挑戦を直訴している主な選手は、ソフトバンクの161キロ右腕・千賀滉大(27)と、5年連続で3割、20本をマークするなど走攻守三拍子揃った広島の鈴木誠也(26)。米球界関係者は、「基本的に千賀や鈴木のような20代のトップクラスの選手は、コロナ禍が契約条件にマイナス影響を及ぼすことはないのではないか。現行のポスティング制度は、交渉期限(申請翌日から30日間)があるものの、FAと同様に手を挙げた全ての球団と交渉できる。千賀や鈴木ならば、すぐにでも獲得したい、という球団が出てくるでしょう」。

 広島は前田や菊池らのポスティングを容認した実績がある。鈴木は順調にいけば22年オフに国内FA権を取得する。早ければ今オフにも、メジャー挑戦する可能性がある。

 一方の千賀は、ソフトバンクがポスティングを認めていない。ただ、同球団の三笠GMは昨年、千賀との契約更改後に「どんな意思決定もそうだが、一度決めたら変えないということではない」と、含みを持たせた。

コロナによる大減収

「日米間の資金力の差も、選手のメジャー志向を加速させる可能性がある」

 とは、球界OB。

「日本の球団は、入場料収入を柱としてきたが、昨季はコロナ禍により観客動員に制限がかけられ、数十億円規模の大幅な減収となった。今もコロナ感染者が増え、東京などに緊急事態宣言が発令された。今年もコロナによる減収は必至です。新たなビジネスモデルを構築しないことには、ただでさえ高いと言われる年俸を払い続ける余裕はなくなっていくでしょう」

 その点メジャーは、米国内でのコロナの状況は日本より深刻だが、各球団の経営面のダメージは日本よりもマシだともっぱらだ。昨季の無観客開催により入場料収入は大幅減になったものの、各球団は全米ネット局との放映権契約の分配金約50億円を受け取れる上に、地元のローカル放送局から莫大な放映権料が得られる。

 前出のOBが続ける。

■オリックス山本もメジャー志向

「千賀や鈴木より年下の選手にも、メジャー予備軍がいる。最速158キロ右腕のオリックス・山本由伸(22)、下手投げ右腕のソフトバンク・高橋礼(25)に加え、昨季のパ・リーグ新人王の160キロ右腕の西武・平良海馬(21)あたりも、メジャーが注目している。中でも山本はメジャー志向があるようです。若手選手が年齢と資金力の差を考慮し、これまで以上に早い段階で球団にメジャー挑戦の意向を直訴、米球界へと羽ばたくという流れになっても不思議ではありません」

 菅野の巨人残留は、日本人選手のメジャー挑戦の若年化を促す契機になるかもしれない。 

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