Amazonのあの駄作を振り返る。Fire Phoneは記憶よりもさらに駄作だった

GIZMODO / 2019年7月31日 20時0分

190731_firephone_amazon Image: Gizmodo/YouTube

先見の明はあったけど…。

Amazon Fire Phoneがリリースされたのは2014年7月のことでした。もう5年も前のことなんですね。振り返ってもダメダメなスマホでしたね。 発表のときジェフ・ベゾスは 壇上でのスピーチでこの端末について...なんつったっけ、「ゴージャスな」「エレガントで」「洗練された」だったかな。実際とはまったく正反対の表現の羅列でしたよね。まったく。それから数週間、Amazonスマホの欠点という欠点を見尽くすことになったわけなんですが、今考えると使うに値しないなガジェットでした。でも、まさに今振り返ると驚くべきことにAmazonは人より数歩先を行っていた抜群のアイディアを秘めていたともいえます。

ハードウェアは悪くなかった?

Fire Phoneのもっとも恥ずかしくない点はそのハードウェアにありました。4.7インチのHDディスプレイ、プロセッサはSnapdragon 800、当時のスマホ市場では他のスマホとひけをとらない仕様ではあったのです。背面にはガラス素材を使ってるとこなんかはiPhone 4を彷彿とさせましたね。でも当時はすでにiPhone 5sが最新でしたが。 Fire Phoneの縁はゴム引きとなっており、このあたりからAmazonスマホに対する私の興味はだんだん萎えていくわけなんですね。

値段は驚愕の600ドル(SIMフリー版・2014年当時で約6万1200円)なんですがゴム引きの部分がいっきにチープな雰囲気を盛り上げるわけなんです。 きわめつけは、eBayで購入したFire Phoneが配達されてきたときには背面のガラス素材が壊れていたこと。これもまたレビューのモチベーションを一気に下げたっけな。これで壊れやすさが証明されたことにもなりましたし。

ezgif.com-webp-to-jpg Image: Gizmodo US

2014年にして6眼カメラを搭載。でも使い方がね…

Fire Phoneハードウェアのもっともユニークな点は、デバイスのあちらこちらに仕込まれてる6つのカメラでした。バックカメラは犬の撮影にもってこいの13メガピクセルで、フロントにももちろんセルフィーカメラが。それ以外にも4つのカメラが仕込まれて「Dynamic Perspective」とやらを作り上げていたことになっていました。顔の動きや位置をトラッキングして、いってみれば「視差効果」なようなものを生み出して画像を3D風にしてくれる機能でした。

Amazonは待ち受け画面用にこの3D風の画像をたくさん用意していたため、この機能がどんなものかは、待ち受け画面を開いてすぐに見ることができました。たとえば下のGIF画像の待ち受けは砂浜の画像ですが、画面を傾けることで写っている船が浮き上がって見えます。Dynamic Perspectiveはマップアプリでもその機能を発揮しており、エンパイアステートビルのような建物をマップ上で3D風に見ることができました。2014年当時のギズモードのレビューでその様子を見ることができます。元米ギズモード記者のエリック・リマーは当時のレビュー記事でこのDynamic Perspectiveは「最初の10回くらいまでは楽しいけど、ただ邪魔なだけ」な機能と表現しています。 そして5年後の今、わたしもそう思います。

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商魂が強すぎたOS

実際にFire Phoneを普通のスマホと同じように使いこんでみると、どんなにヘボいのかが露呈してきます。 OSはFire OS 3.5となっています。といってもAndroidを大きく改造したバージョンにすぎず、 そのルーツはAmazonのKindle Fireタブレットに由来。ホーム画面には最近使用した各アプリの大きなアイコンが踊り、ドックにはお気に入りのアプリアイコンが見えます。一見iOSやAndroidみたいに動くかのように見えます。ホーム画面には4つのアイコンをクイックアクセスとして置いておくことができます。

Fire Phoneを使って数分後、すぐにタブレット用のソフトウェアを流用するというこのアイディアはナシだよなあ、と気づきます。 ドックは見慣れた風貌ですが、アプリの選択肢が広すぎて自分が今いったい何をしようしていたか忘れて、迷子になった気分になっちゃいます。普通スマホを手するってことは目的があるということですから、Amazonがオススメする本なんか別に見たくもないんですよね。最後に使ったのがKindleアプリの場合はこのオススメが表示されてうざいこと極まりないです。

Amazonの商魂はFire Phoneにも息づいています。メインアプリであるFireflyは、現実世界にあるものをなんでもアプリでスキャンして、それをアプリに取り込んでストアで売りつけ...もとい、購入していただくのがそのメイン機能。モノの写真をとるとそれをAmazon上で購入できるという仕組みでした。またマイクで音楽や映画を視聴すると、その作品もAmazonでの購入をオススメされます。コンセプトとしてはここ数年開発が続いているGoogle Lensに近い発想ですが、それよりも実用的な感じです。Amazonはいつでもどこでも商売したいんですね。

Fire PhoneユーザーにとってFireflyは避けがたい存在でもあります。側面にある専用ボタンを長押しするとFirefly機能が呼び出されます。(普通に押しただけだとカメラが起動しますが、ちょっと長押しっぽくなるとすぐにFireflyが起動されちゃいます)そんなにいつでもどこでも思い切りAmazonで買い物したい人がいるのかどうか、はなはだ疑問です。

いらないものがあり過ぎた

3 Image: Gizmodo US

Fire Phoneを一言で表現するなら「いらないものがありすぎ」。「Dynamic Perspective」はなんとなくギミックっぽいし、待ち受け画面のアプリアイコンですら頭を動かすと3D風に動いて、なんか気持ち悪いし...。 さらに頭を傾けると、Fire Phoneから別のメニューが現れ、さらにほしくもない新情報が目に飛び込んできます。右にフリックするとどうにも意味がわからないオプションが表示されます。アプリやゲームやウェブなんかは、普通ホーム画面にあるもんですが。その使いにくさといったら、Fire Phoneはどうもユーザー体験というものをわざと迂回しているんじゃないかと思わせるほどです。

といってもFire Phoneにもよい機能も少しはありますが。Amazonが失敗してしまったけど、よかったなと思う機能は、使用目的の異なる複数カメラをスマホに仕込んだ点です。これは時代の先を行っていました。Dynamic PerspectiveはFire Phoneの数あるいらない機能の中でももっともいらない機能と言ってもいいですが、それでも先見の明はあったのかもしれません。

Fire Phoneのリリースから月日は流れ、今では各社こぞって写真に深度を与えようとして複数カメラを導入していますから。Appleのポートレートモードも然り。これはiPhone 7 Plusで2016年に初めて登場しました。その翌年にはiPhone Xの前面に顔認識用の複数のセンサを使用したFace IDが登場。Fire Phoneも同様なカメラを搭載してはいたものの、使い方を間違えたんですかね。

こんな感じで、Fire phoneの人気はさんざんだったわけなんですが。リリースから2カ月後、AppleのiPhoneイベントの直前に、Amazonはそれまでに200ドルまで値下げしたFire phoneのお値段をさらにお得にして99セントポッキリ(当時で105円)でみんなに提供しちゃってます。大盤振る舞い!

2014年10月にはAmazonはFire Phoneが約8300万ドル(約90億1500万円)の売れ残りを抱えていることが公表され、2015年9月にはついに販売中止に至っています。

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