マウスウォッシュは運動後のメリットをかきけす?

GIZMODO / 2019年9月21日 18時0分

Image: Marco Verch (Flickr (CC BY 2.0)) via Gizmodo US

運動して気分さわやか~、マウスウォッシュで息もさわやか~…、と思いきや。

マウスウォッシュを運動中、または運動直後に使用することで、血圧が下がりにくくなってしまうことをイギリスの研究者が発見しました。この研究は学術誌『Free Radical Biology and Medicine』に掲載されたそうです。

ちょっとわかりにくい因果関係ですが、ようするに口内フローラがいかに重要かってことらしいですよ。

お口の環境と血圧の関係

運動すると血圧が下がる効果があるのは周知のとおり。運動中に体が作り出す一酸化窒素が血管を広げてくれることがその理由のひとつです。

さらに、エクササイズが終わって体が一酸化窒素を作らなくなってからも、しばらくは血圧が低い状態が持続することも知られていて、これを運動後低血圧というそうです。運動後低血圧がなぜ起こるのかは、まだはっきりと解明されていません。

そこで、イギリス・プリモス大学の栄養生理学者、Raul Bescos氏は、口内フローラが関係しているんじゃないかと考えました。口内のバクテリアは一酸化窒素の副産物である硝酸エステルを吸収し、亜硝酸エステルを合成します。その亜硝酸エステルは唾液と一緒に飲みこまれて私たちの体に取りこまれていく際に、また一酸化窒素に変化します。

Bescos氏は、このプロセスがじゅうぶんな量の一酸化窒素を血流に戻してくれるために、運動後低血圧が持続するのではと考えたわけです。

マウスウォッシュをがぶ飲み

この学説を試す際にBescos氏が使ったのが、クロルヘキシジンという強力な殺菌剤を含んだマウスウォッシュ。日本ではマウスウォッシュより馴染みやすい市販のうがい薬も、一部クロルヘキシジンを含んでいるものがあります。

「マウスウォッシュには口内バクテリアの活動を抑え、亜硝酸エステルの合成を抑える働きがあると知っていたので、実験に使いました」とBescos氏は米Gizmodoに話してくれました。

実験には23人の健康な大人に参加してもらい、まずは30分間ランニングマシンで汗を流してからマウスウォッシュかプラシーボを飲んでもらい、2時間安静にしてもらって血圧を測りました。二回目は30分間ランニングした後に前回飲んでいなかったほうの液体を飲んでもらい、また血圧を2時間モニターしました。

予感的中

実験の結果、マウスウォッシュを飲んだ人たちの血圧は飲まなかった人たちよりも下がりませんでした。さらに、2時間安静にしている間に、運動後低血圧の効果は消えてしまったそうです。

マウスウォッシュが口内フローラのはたらきを制御した結果、亜硝酸エステルの合成が止まり、唾液と血流内の亜硝酸エステル量が低下して、体が一酸化窒素を作り出せなくなってしまったと考えられます。なお、実験前と実験後での調査では口内フローラの多様性に変化はなかったそうなので、マウスウォッシュが口内フローラを一網打尽に殺してしまったわけではないみたいです。

口内フローラの大切さ

この研究でわかったのは、口内フローラが作り出す亜硝酸エステルが運動後低血圧ををもたらす一酸化窒素の供給源となっていることです。

もちろん、実際は運動したあとにマウスウォッシュを大量に飲んでいる人なんてまずいないと思いますけど、運動とマウスウォッシュの直接的な関係以外にも、この研究の意義が発揮されそうな分野はたくさんあるそうです。

たとえば高血圧症。人間ドックでひっかかってからは忠実にお医者さんの言うことを守って健康に気を使っている人でさえ、どうしても血圧を下げられない場合ってありますよね。

高血圧症に悩んでいる人は歯肉疾患に悩まされる確率が高いそうですが、これはもしかしたら逆のパターンもありで、歯肉疾患が口内フローラに影響しているからこそ血圧が下がらないのかもしれないそうです。この辺はまだ研究の余地があり、確かではないそうですが。

もしかしたらマウスウォッシュの過剰な使用は血圧を上げる効果があるかもしれないとまで言われているそうです。さわやか~なお口のために体の健康を害してしまっていたら元も子もないですが、はっきりとしたことはまだ解明されていません。

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