天使か悪魔か。イーロン・マスクの2019年レポート

GIZMODO / 2019年12月31日 18時0分

20191227-elon-report Image: Marina Linchevska/Shutterstock

特に意味ないが……

2019年もいよいよ終わる。ハッピーニューイヤーってやつだ。

これに際して、われわれ人類保全委員会にとっての要注意人物であるイーロン・マスク氏の一年を振り返っていこうと思う。ではまず、イーロンの2019年をおおまかにまとめよう。

意外なことに、2019年前半は割と落ち着いていた。SpaceXでStarhopperを作ったり、TeslaでModel Yなどを発表していたが、2018年にあったような激動はあまりなかった。

しかし後半は怒涛の発表ラッシュ。

彼はまず、人とAIを繋げるための脳マシンインターフェースを7月に発表し、9月に人類文明を地球外へ跳躍させるStarshipロケットの試作機を発表した。そして11月には、荒廃した地球を走り抜けるための超頑丈なピックアップトラックも発表。最後のは特に、皮肉にもサイバーパンクな演出で、私もおもわず苦笑いした。

もうお分かりだと思うが、イーロンは人類を救う……もしくはパージする準備を着実に進めているようだ。天使か悪魔か、それはまだ確定していない未来だが、我々の望む未来を勝ち取るためにも、まずはイーロンの活動内容を知っておこう。

Neuralink:脳マシンインターフェース

AIに仕事を奪われる、シンギュラリティーヤバイ、人類が淘汰される…なんて騒がれることが増えてきた。言い方はいろいろあるものの、要はAIの能力が人間のそれに追いつくということだ。そして…人類は追い越されていくのだろう。

しかし、そこで座して待たないのがイーロン・マスクだ。彼は人類をAIの脅威から守る目的で、2つのアプローチを実行している。

まず1つ目が、AIを人類に有益な存在にするアプローチ。2015年にOpen AIという非営利の研究団体を立ち上げたのは、そのためだ。

そして2つ目は、人類をAIレベルに引き上げるアプローチ。2016年にNeuralink Corporationという企業を立ち上げ、脳マシンインタフェースを開発し始めている。しかし、設立から数年は表立った動きを見せていなかった…。

20191227-elon-report-neuralink Image: Neuralink/YouTube

ところが2019年の7月に、Neuralinkが公式の会見を開き、イーロンはNeuralink社のミッション内容と開発中のN1インプラントを発表した。研究を加速させるために、賛同する有能な人材を求めていることを説明。数時間にも及んだ濃密な会見は、言ってしまえば仲間集めのためだったのだ。

一見メシアのように思える行動ばかりだが……悪用すればインプラント使用者の意識を乗っ取ることだって可能だろう。すべてを鵜呑みのするのは、果たして賢い行動なのだろうか。

Starship:プランBの箱舟ロケット

地球は、いや、人類の居住環境は危機に瀕している。自然破壊は今年も順調に営まれ 、異常気象や地球温暖化と呼ばれていた気候変動が気候危機と呼ばれるようになった。

それだけではない。小惑星の衝突や、核戦争なども起こりうる。もし人類文明の存続を確実にしたいのであれば、地球の保全活動を進めると同時に、地球とは別の居住環境、プランBの惑星を確保することが肝要だ。

イーロン・マスクは、「火星がプランB」だと信じている。彼が2002年にSpaceX社を設立したのは、火星にコロニーを築くためだ。そして、いずれは太陽系にある惑星や月を次々とコロニー化していき、人類を多惑星文明にするのだという。

そのためには輸送方法として再利用可能な巨大ロケットが必要だ、と発表したのが2016年。当時 ITS = Interplanetary Transportation System と呼ばれていたロケットは、2017年に BFR = Big F*cking Rocket 、ではなく Big Falcon Rocket へと改名され、2018年に上段の Starship + 下段の Super Heavy にアップデートされた。

20191227-elon-report-starship Image: Loren Elliott/Getty Images via Gizmodo US

2019年の9月には、Starship のプロトタイプである Starship Mk1 が発表された。あまりこういうことを言う柄ではないが、ギンギラギンにたぎりゆく最高のデザインだと私は考えている。しかも、Starshipの開発がこのままうまく進めば、人類は2020年代に火星に降り立つこととなるらしい。

すばらしいではないか。本件もなかなかの救世主っぷりだ。

しかし、火星に移り住めるようになれば地球の重要度はある程度低下する。選ばれし者たちが住む火星と、そのた大勢がすむ地球…。そんな状況になりかねないのではないだろうか?

Cybertruck:世紀末ピックアップトラック

そのた大勢の住む荒廃した地球。惑星間インターネット Starlink を経由して、火星からNeuralinkを密かに操作されている地球人。彼らに許されている活動は、世紀末ごっこのみだった…。

なんていうなサイバーパンクな未来を見越しているのだろうか。2019年の11月に、Teslaから世紀末チックな鋼鉄製電動ピックアップトラック、Cybertruckが発表された。

20191227-elon-report-cybertruck Image: Tesla

私の知る限り、Teslaは再生可能エネルギーへの転換を推し進めることをミッションとして掲げているはずだ。電気自動車やソーラーパネル、バッテリーソリューションを製品化していて、名実ともにミッションを遂行しているように見える。

今回のトラックも、アメリカでもっとも売れているガソリン車がピックアップトラックだからであろう。それらをすべて電気自動車に置き換えられたなら、温室効果ガスの排出量はグッと減るというもの。

20191227-elon-report-milleniums-end Video: Tesla/YouTube

しかし、この演出からは皮肉を感じざるを得ない。

人類を救っているように見せかけて、おもちゃにしている……。と見せかけてスタイリッシュに救っているのかもしれない。天使か悪魔か、その未来はいまだ確定せず、2020年も要注意ってことだ。

まぁ、なんとなく我々の疑心暗鬼が彼を苦しめ、しいては人類を危機に晒している気もするが……。

私からは以上だ。

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