古いテレビの発するSHINE電波で村全体のネットがダウン

GIZMODO / 2020年9月27日 21時0分

200924_mysteryoutage_top Photo: pxhere/CC

英ウェールズのとある村で起こった、本当のおはなし。

村民は奇妙な現象に悩まされ続けていました。毎日ある時間になると、インターネット接続がふっつり途切れてしまう、もしくは恐ろしくつながりにくくなってしまうのです。

どんな技術者にみてもらっても原因は解明されぬまま、一年半が過ぎました。そしてある時、ある家にあった古いテレビを消したら、奇妙な現象はうそのように消えてしまったのでした。

一台のテレビが村全体をダメに

9月22日付の発表で、イギリスのブロードバンドプロバイダ・Openreachが明らかにした詳細はこうです。

谷間に抱かれたアベルホサン村では、毎朝7時頃に必ず異変がおとずれ、それまで快適だったネット環境が急に落ちたり、運よくつながったとしてもローディング時間は牛歩の如く…。

原因解明のためプロバイダが現地にエンジニアを派遣したんですが、何度調べても「システム異常なし」との結果が上がってくるだけ。ついにはケーブルを取り替えたりしたものの、問題解決には至りませんでした。

そこで、Openreachのエンジニア・Michael Jones氏は、「最終手段」として数人のチームで村へ赴き、電気的干渉がないかを調べることにしました。その時のことをJones氏はこう話しています。

午前6時、どしゃぶりの雨の中で、わたしたちはスペクトラムアナライザという機械を使って村中を行ったり来たりしながら、電子ノイズがないかしらみつぶしに探していました。すると、午前7時きっかりに、突然スペクトラムアナライザが派手なノイズのバーストを検出したんです

ノイズの出所をたどってみたところ、一軒の住宅地に行き着きました。調べてみると、その家にはやたらと古めかしい中古のテレビがあり、なんとそのテレビが単一高レベルインパルスノイズ(SHINE: single high-level impulse noise)という電気的干渉の一種を作り出していたのです…。

そこの家の住人からしてみたら、日課として毎朝7時にテレビのスイッチをONにしていただけのことだったのに、まさかそんな日常的な行為が村全体のネット環境をダメにしていたとは夢にも思わなかったようで、

そのテレビの持ち主にノイズについて説明した時の狼狽ぶりったら…。すぐにテレビのスイッチを切って、もう二度と使わないと即決していました

とJones氏は続けています。

どんな電子機器にもリスクあり

Openreach社のインターネット回線はADSLを使用しており、今年後半にやっと光ケーブルに置き換える計画だそうです。SHINEはちょうどADSLの周波数と競合してしまう電波で、SHINEを発生させるデバイスの電源が入るとADSL回線が妨げられたり、回線エラーになって通信スピードが落ちたりするんだそう。

SHINEはデバイスのスイッチを入れたり切ったりする時のみに発生するそうで、電波がずっと出っぱなしってわけではないそうなんですが、それでもDSL回路の同期性を狂わすのには充分だとか。そんなやっかいなSHINEが身近に発生していないかを調べたい場合は、AMラジオを使った簡単な方法をイギリスの通信会社Zenがこちらで紹介していますよ。

「屋外ランプ、電子レンジ、監視カメラなど、電気的なコンポーネントを持っているものならなんでもブロードバンド回線に影響を及ぼす可能性があります」と指摘しているのはOpenreachのウェールズ地区主任技術者のSuzanne Rutherford氏。

村全体のインターネット回線が影響されてしまうようなケースは稀ですが、過去にもちっさいデバイスがでっかいトラブルを巻き起こしたことはあったようです。たとえば、2004年にはアメリカのウェストバージニア州で温熱パッドの欠陥品が電波望遠鏡に悪影響をきたしていたケースが。

また、2015年には同じく電波望遠鏡が妨害されていたんですが、なんと原因は電子レンジ。加熱中に「チン!」の音が鳴る前にドアを開けてしまうたびに、電気的干渉が発生していたんだとか…。

電子レンジのご利用は、くれぐれも計画的に。

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