タイでもパンを食べる習慣が定着してきている

2015年、エムクオーティエに誕生した「リトルマーメイド」はタイ人客でいつも賑わっている。(高田胤臣 撮影)

　2016年2月15日、タイは元々親日国であることや日本人在住者の増加、タイ人の日本旅行ブームなどで、特にバンコクは和食店が充実している。そんな中、主に日本からベーカーリーの進出もあって、タイ人にもパン食が定着しつつあるようだ。

　これまでもタイ人はパンを食べることはあったが、2000年代前半でさえもまだ菓子パンのレベルであった。パン生地自体が甘いものが多く、本格的なものはフランス料理店などで自前の窯を持っているようなところでしか食べることができなかった。近隣のラオスやカンボジア、ベトナムと違い独立を保ってきたこともあってか、パンだけでなくコーヒーも本格的なものがあまりなかったほどである。

　しかし、最近は日本のヤマザキなどが各地の商業施設に出店していたり、徐々に普通のパンがどこでも手に入るようになった。バンコクの中心地にできた富裕層向け商業施設の「エムクオーティエ」には焼きたてのパンが売りの「リトルマーメイド」も昨年進出し、たくさんのタイ人がトレーを片手にパンを選んでいた。

　近年の発展でタイ人も本物の味を知り、下手な製品では誰も喜ばないようになっている今、こうした本格派でないと商売はたちまち成り立たなくなる。ついこの間までパンに関してはかつてのインドシナ3国にも遅れをとっていたタイだが、あっという間に大差をつけて追い抜いてしまった。タイの勢いが今後も続くと願うばかりだ。

【執筆 : 高田胤臣】