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インドの銀行が抱える不良債権問題は深刻ーHSBC投信

Global News Asia / 2017年8月29日 20時45分

インド

 2017年8月28日、HSBC投信は、インドの銀行が抱える不良債権問題についてのレポートを伝えた。

 8月は、銀行セクターの事前予想を下回る業績発表が相次ぎ、過去数四半期に亘り重しとなってきた不良債権問題が再び注目を集め、銀行の資産の質を巡る懸念が広がった。銀行の不良債権残高は増加する一方、預貸利ざや、純金利収入ともに大きく落ち込んでいる。銀行貸出残高の約7割を占める国営銀行の不良債権残高は、足元で合計1,500億米ドルを超えており、銀行融資は伸びていない。4-6月期の国営銀行における問題債権(不良債権+貸出条件緩和債権)比率は15%強と、前年同期からも上昇している。

 インド国内では、いくつかの州政府が農業ローンの返済免除を発表しており、貸出債権の回収不能が懸念されている。また、州政府が買電契約の再交渉を模索しており、電力向け融資も銀行にとり新たなリスク要因として浮上している。加えて、国営銀行の与信は、自己資本の充足度を巡る懸念や民間銀行との貸出競争の激化などを背景に、当面は低調な推移が予想される。

 インド準備銀行(中央銀行)は、2016年に資産の自己査定を実施するよう指示したり、2017年6月には大口債務不履行企業の12社を特定し、破綻・倒産法に基づく破たん処理手続き開始の申し立てを促すなど、近年、銀行システムを圧迫する不良債権問題への関与を強めている。しかし、国営銀行の多くは資本が脆弱であり、こうした中央銀行の努力の甲斐なく、バランスシートの改善(不良債権の圧縮)は困難に直面している。パテル中央銀行総裁は8月上旬に、国営銀行はバランスシートを圧迫する不良債権問題への対処として一段の資本増強が必要であるとコメントしている。

 資本増強の手段としては、政府による追加資本の注入や政府の国営銀行持分の売却を通じた資金調達、または非中核資産の売却などの方法が挙げられる。

 ムーディーズは6月に、同社が格付けを付与している11の国営銀行が2019年3月までに自己資本を最大150億米ドル増強させる必要があるとの見解を示した。これは同時期までに32億米ドルの資本注入を実施するとの政府の計画を大きく上回っている。

 また、高額紙幣の廃止や物品サービス税(GST)導入に伴う一時的な影響が企業収益の重しとなっており、4-6月期の企業収益は銀行以外の多くのセクターでも事前予想を下回る結果となった。素材、一般消費財、生活必需品などのセクターでは特に、GSTの施行により、在庫管理やサプライチェーンなど一時的に混乱が生じた。こうした中、インドでは企業収益の回復が数四半期後ずれする可能性があると見られている。
【編集 : AO】

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